はなこせんせいの日記
教育の現場の様子と気付いたことを折々の出来事に載せて綴ります。

2012年03月08日(木) きっかけ

 感動の音楽会から
もう1週間。
あっという間でした。

 さて、音楽会のご感想をお便り帳でいただいておりました。
ありがとうございました。
 特に、年長の演奏は
これまでの集大成ですから
学年かかわらず感動したとのお声を
多数いただきました。

 まさに、そのとおりです。
これまでの演奏会で
一番上手でしたね。
なんというか、心と演奏がひとつになっていて
音楽を感じることができました。

 それも、にこにこ組からの
音遊びの流れだと思うと
これまた、すごいですね。
(遊びは、学びなのです。)

 今年は、年長組の歌も披露しました。
オリジナルの。
「みんなにあえて」
 作詞 第37回卒園児 作曲 松橋です。
この曲についても、よかったといってもらって
何よりでした。
 この日記をごらんの皆様だけに
その裏話を・・・・。

 年長の担任は、ピアノがとても上手です。
歌わせたい歌もたくさんあって
今年は「ありがとう」を選んでいました。
ところが、実際あわせてみると
キーの高低がありすぎて子供たちには難しい。
「これ、変えましょう」と私がいったところ
子供たちから反対の声が。
「いやだ、絶対歌いたい」
その理由は
「お母さんや、おばあちゃんが好きだから
(朝のドラマでいつも見ていたもの・・・!)」
そうか、それではどうしよう。
歌えない歌を披露するわけにいかないし。

「気持ちはわかった。でも、声が出ていないよ。
高い声も出るように練習をたくさんしてね。
もしくは、先生からの提案なんだけど・・・」
そういって、話したのが
「オリジナルソング」でした。

「自分たちの歌なら、歌ってもいい。
そっちのほうがいい!」という声が半分。
絶対今の歌を歌うという声が半分。
流れが出てきました。

 何事も子供たちの心が動かなければ
よいものが生まれません。
やりたい、やろう!という気持ちこそが
一番の原動力なのです。

 そうはいったものの、いつも主任から注意を請けています。
「せんせい、パンドラの箱をまた開けたのですね!!!」

開けてはいけないパンドラの箱を開けると
魑魅魍魎、病気や犯罪
それまでの世界になかった悪いことが
飛び出してしまうという昔のお話になぞらえて。

・・つまり、また大変なことはじめましたねということ。
そんな時、こう切り返すのです。
「でも、箱のそこには希望が残っていたじゃないの」

原作とは違う意味になるかもしれませんが
苦労があっても
そこに希望があり
未来があるのなら。

まあ、計画性がないともいえますが。

 新曲は、子供たちが遊んでいるとき
曲でどんな思いを伝えたいを聞き取りました。
 びっくりするほど大人っぽい言葉や
子供らしいストレートな言葉まで、さまざま。

 聞き取った言葉をメモした紙を
持ち歩くこと数日。
 これをどう、歌にしようか。
歌の神様が降りてくるまで
じっと待ちます。といえば聞こえがいいですが
考える余裕もないほど、結構ばたばたな一週間でした。

気がつけば、本番まで残り一週間。わ〜、パンドラ!!
 そして、研修に出かけていた電車の中で
大方の詩をまとめました。
一緒に行っていた若い先生にも見てもらいました。
「いいですね」
本当???
本当のこと、言ってもいいよ。
無理か?ホントか?
 
 次の日、主任に見せました。
なんとなく浮かんできたメロディーを鼻歌で。
「いいんじゃない、うん、いいよ」
よかった、だめなときは、だめって言ってくれる人が
近くにいて。

 確信を得ながら
早くしないと、歌の練習時間がなくなる〜と
あせる私。

 最後の週が始まりました。
まずは歌詞を子供たちに伝えよう。
部屋に張り出して、一緒に読みました。
「どう?さびのところは、曲も決まっているの、こんな感じで」
ピアノを弾きながら歌って見せると
すぐに乗ってくる子供たち。
お〜。すごい!こども!
そして、担任。
だって、たくさんの歌を
楽しく歌ってきたからこそ
「音楽をすぐに捉える力」がついているのだもの。
この子達でなければ
1週間で新曲はむりだったな。
もちろん、この子達だから
こんな無茶な計画も
大丈夫だと思ったのだけど。

「明日までには、曲全部作ってきます。
みなさん、よろしく」
「は〜い」
そういって、それからの4日間、
歌い続けました。
といっても、ほら、
いつもの一週間プラス音楽会の練習プラス
プラネタリウムへお出かけなどあったでしょ。
歌うのは、バスの中、移動の途中、
練習と練習の合間に
勝手にピアノをひいて
準備が済んだ子達から
集まって、みんなが集まるまでの間歌ったり。

 本当に、子供たち。すごいし、ありがとう。

前の日に「どう、歌えそう?」
「ふりとか、付けられそう?
(振りがはいると、歌を忘れやすくなるので)」
「できる!]
「思いを伝えるために、ママに〜のところはママへ
パパにのところはパパにむかって、先生に〜のところはね
自分が思いを伝えたい先生にむかって、手を出してね。
やってみよう!」

そうしたら、担任に手を伸ばす子の中に
私に向かってにっこり笑いながら
手を伸ばす子が。
もう、なんてこと。気を使えるようになって
こんな大人になって
もう卒園なんだ
大きくなったね
本当におめでとう
いろいろ、一緒に体験したね
叱ったこともあったね。
抱っこもしたね。
思い出がモコモコと頭の上に広がって
伴奏どころじゃない。

涙がでました。

歌を聴きにきていた
主任も、泣いていました。

「明日、思いを込めて歌ってね」
そういって、迎えた本番。

こんなことでもなければ
音楽会で
私がピアノを弾く機会なんてないのですが
ほら、1週間でできた曲なので
楽譜はないし、代わりがいなかったのです。

子供たちの影で
担任も泣いていたとか。
わかるよ。
私といえば、ピアノを間違えないように緊張して
(少し、間違えました。。。)
涙は出なかったけど
心の中は、感動でいっぱいでした。

・・・というのが、新曲までの道のり。
そう思って、どうぞもう一度
ビデオを見てください。
あの子達のすごさが
よくわかりますから。

そうそう、「ありがとう」の曲がその後どうなったかといえば
音楽会に来た皆様にはご存知のとおり。
大きな感動と涙を誘うことになったのでした。

すばらしい子供たちを
預けてくださってありがとうございます。

感謝と感動の

副園長 松橋でした。


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