だだの日記
この春、人生において一つの方向転換をすることになった。 僕のなかでの価値基準を変える、いわばパラダイムシフト。 その第一歩として、来週会社を退職する。
ちょうど1年前、自分の覚え書きにこんなことを書いていた。
この5年間、会社員として会社の利益と自分の売上げを意識し、 給与を元にした生活設計を立てて過ごしてきた。 それが、今の日本の社会で生きていく基本であり、 生きていくためのシステムになっていると思う。
だけど、そういった今の生き方、社会が 本当にいいことなのかどうかを最近少し疑っている。
池澤さんの「光の指で触れよ」が連載されていた2005年当時、 この小説で提示されたテーマに対して、 自分にとって大事なヒントが隠されているのではと 感じていたものの 正直なところピンと来なかった。 だけど、単行本が発売され、いろんな経験を経て、 自分なりに考えを重ねた今は もうちょっと明確なものを感じている。
例えば学級崩壊や少年犯罪といった教育の問題、 過労死やネットカフェ難民などの労働の問題、 年間3万人を越える自殺者や鬱病の増加といった心の問題、 温暖化に代表される地球環境の諸問題は、 今の日本社会から生じたひずみに 一因があるのではないかと思う。
だとしたら、今何が必要なのか、自分に何ができるのか。 無関心でいたくないし、何か考える契機がほしい。 と同時に、人として、(お金や物に振り回されない) もっとシンプルな生き方をしていきたい。
いろいろ考えた結果、 物やコマーシャルに踊らされる物質中心社会、 すべての価値基準をお金に頼った貨幣経済から一度離れて、 自分自身を、そして社会を見つめてみたいと思う。
上記の問題に対する解決方法の一例が、 ここにあるのではないかと考えている。
僕はいくつになってもいろんなことを考え続けたいし、 行動し続ける人間でありたい。
そう。会社を辞めること自体を決めたのは、昨年の2月。 いろいろあってなかなか辞められなかったけど、 ようやくスタートラインに立てる感じ。
つまるところ、仕事そのものや会社に対する不満は特にない。 忙しいとか、給与面とか、分かっていて入社している訳だし。 ただ、都会のオフィス群の中で終日居続けることや、 夜遅く帰宅して家では寝るだけ的な 生活に対する疑問は次第に感じるようになった。 また、自分のいる会社が”広告代理店”という部分も 気になるようになっていった。 単純化した言い方になってしまうが、 ”消費を煽る”という側面に対して。
自分らしく生きるとか、そんなものには興味はなくて、 むしろ、人間らしく生きるということが どういうことなのかを問いたい。
そういった心境で、この一年準備してきたつもりだった。 けど、やっぱり直面してみないと分からない部分も多く 最近では不安で気が沈むことの方が多い。 昨秋から急に不況になってしまったのも誤算でもある。 このさなか職を失うのは思いのほか大きい。
そして、会社という”組織”に所属することが いかに楽かということを、今さらながら痛感している。 もちろん、楽という部分に甘えていてはいけない訳で。 もう後には戻れない以上、進むしかないのだと思う。
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