だだの日記
2002年09月23日(月) |
京の水に生きる人たち |
花背の名水を訪ねる
鴨川沿いを北上し、鞍馬寺の前を通り過ぎて30分。車はうっそうと茂った杉林のなかを進んでいく。ひんやりとした風が窓から入り込み、気持ちよい空気が肌に触れる。こうしてたどり着いたところが花背峠だ。標高770メートル。ここはちょっとした避暑地のよう。その峠を木製の案内に従うように林道にそれ、さらに500メートル進んだところに花背の湧水があった。上杉コーヒーの味の秘密だ。
水量は思ったより豊富。杉林の裾から竹筒を伝って絶え間なく流れてくる。勢いがいい。差し伸ばしたコップがたちまち満たされる。待ちわびたようにさっそく一口いただく。冷たさにまず驚き、水が喉を伝っていくのを実感する。味はくせがなく柔らかい感じ。上杉さんによると、この柔らかさがコーヒーにまろやか感を出すという。 辺りを見渡すと、とりわけ大きな杉の木陰に中年夫婦の登山客が休憩していた。疲れた体を休め、のんびりと帰りのバスを待っているという。ここ花背峠は古くからの交通路。若狭の鯖を都へ運ぶ多くの商人の往来があった。きっと峠にたどり着いた古の商人たちも、同じようにカラカラの喉を潤していたはずだ。
この話はすべてフィクションです。
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