★ 夏海の日記 ★
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2009年04月08日(水) |
昔の恋の話をしましょう。 |
20歳と少し経ったくらいに 高校から付き合っていた彼氏と別れました。
彼が就職をし、研修の為に1年間京都で暮らし、遠距離恋愛になりました。 当時携帯などなく、私はテレフォンカードを渡して、 彼に金銭的に負担なく私に電話を掛けてくれるのを楽しみに待っていました。 しばらくすると、友達づてに彼の部屋に電話があると知りました。 私は『恋人』なのに知らなかった。
連絡がないまま時が過ぎ、彼が時々帰って友達に会っていることを知りました。 そっちに帰るけれど、友達と会うから会えない。 そう言って貰えたら、私は納得したのに。 帰って来ていることすら友達づてに聞く悲しさ。
『恋人』とは、友達の中の一番仲良しなのでは? 『恋人』の意味って何?と思いました。 それを彼に告げると、じゃー 一緒に喫茶店に行く?と誘われ、付いて行くと 私も知っている男友達と彼の妹がいて、彼らは楽しそうに会話を始めました。 それ以前のいきさつを知らない私は、会話に参加できない『部外者』でした。 私の知らない話を延々と続ける無神経さに私は悲しみと怒りと限界を感じました。
相変わらず彼から連絡はなく、こちらに帰って来て友達に会ってる話も何度も聞き、 もしかしたら『自然消滅』を狙ってる?と思い始めました。
別れ話をするには『パワー』がいる。 『自然消滅』にしてしまえば、私に何を言われることもなく、 自分も何も告げることも言い訳をすることもしなくて良い。
私は、宙ぶらりんが一番苦手で、付き合っているなら付き合ってる、 別れるなら別れると、はっきりしたいので(次への旅立ちのために) 「私より友達を優先させている今の状態は、『付き合ってる意味』がないよね。 別れよう」と、私から言いました。 とても悲しかったけど。 別れを告げたのは私だけど、 彼の代わりに言ってあげたくらいのフラれた感でズタボロだった。
それから数カ月経ち、私に彼ができた。
そして。
私が別れを告げた彼が家に来るようになった。 私の妹を向かえに来る為に。
彼は「フラれた」と私の妹に泣きを入れ、二人は付き合うようになった。
私は体中の血が冷たくなる程ショックだった。 私には妹にコンプレックスがあり、 私 じゃダメで、あんなに酷い仕打ちをしたのに 妹なら良いの??
『私』を否定された気がした。 そんなことはないよと言ってくれる助けが欲しかった。 そして迂闊にも、付き合っている彼に話してしまった。
彼は7歳年上だが、私に大人であることを要求し、自分に甘えるなという人だった。
「お前らサルの姉妹やなぁ」 「ヤリたいだけか?サルか?」
私は慰められる代わりに『サル』呼ばわりされるようになった。 妹は幸せに浮かれ、私は『サル』と罵倒され続けた。 罵倒されながらも、私は その手を離すことができませんでした。 その彼が私の最後の寄り処だったので。 会う度に『サル』と罵倒され、私は私を傷付けていたのかも知れない。
逃げ場がなくなり、生きる気力がなくなった私は、 「あんたが別れないなら私は食事を食べないで死ぬ」と妹に宣言しました。 妹の返事は「死ぬのは勝手やけど、私の前でだけは止めてくれる?」でした。 私は食べることを止め、2週間ほど経ち、母に見つかって (※ 当時、単身赴任できない父に付いて、母も家にいませんでした。 私たちは、妹と弟、祖母の4人で暮らしていました。) 食事をすることを約束させられ、 その翌日から入院しました。急性すい炎で。 その日から、絶水食で、点滴だけの入院生活が始まりました。 当時付き合っていた彼が「ズルイ」と病室にいる私に言いました。 入院しているあんたに向かって、別れるとは言えなくなったと。
入院中も死ぬことばかり考えてました。 ここで死ぬと病院に迷惑がかかるから、退院したら、死んでやると 今度こそ死んでやると。
私の着替えを持って妹が病室に来る。 首筋にべったりと『キスマーク』をつけたまま。 全てが悪夢でした。
1ヶ月半程経ち、退院することになった時、私は母に言いました。 寺に入りたいと。 生きているのが辛いと。
母は、それなら在家で出家できる、ある宗教を紹介した。 そこで勉強して、修行しなさいと。
「今は悲劇のヒロインになっていて、何を言っても無駄だから、あんたが我慢して見て見ないふりをしなさい」だってさ。 死にかけた娘に向かって。
こいつも敵だって思った。
この傷があるから、私は自分に自信が持てない。 『私』じゃなくても良いんじゃないかって思ってしまう。
今、大声で歌いながら、食事を作っている妹。 2人の子供に恵まれ、稼いでくれる夫と結婚生活をちゃんと維持している。 あの体型を見ていると、本当の本当は、私には幸せそうに見えないけど、 傍目には幸せな主婦をしている妹。
私も自信を付けたいな。 幸せになりたい。 心からそう思う。
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