★ 夏海の日記 ★

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2001年11月21日(水) 思い出したこと 3

その日、父が病室に付いていたので、母と妹、1歳半の甥っ子とで夕飯の買い物へ出掛けていました。楽しくお買い物。そして、楽しい気分のまま、実家へ帰って来ました。
すると、病院にいるはずの父が。
(やつは、自分勝手なので、帰ってきたか?!)

「おばあちゃんが、亡くなった」
祖母の様子がおかしいことに、自分が気が付いたんだと言いました。
今、体を拭いて貰ってる。だから、自分は病院へ迎えに行かないといけない。それまでに、部屋を片づけて、祖母の寝るところを作っておいてくれ。それを言いに来たのだと言いました。

その時のことを思い出しました。その時の私の気持ち。
また、間に合わなかった...
冷水を浴びたような、焦った気持ち。ショックな気持ち。
それは、弟の死に目に間に合わなかったトラウマだったのだと、今なら判ります。
そして、スイッチが入りました。
『今度こそ、役立たなければいけない』
瞬間的に、そう思いました。

私の家族は全員、掃除が苦手で、ただでさえ掃除しないのに、祖母の1ヶ月近くの入院中に、掃除する気力もなく、ましてや料理さえ理由を付けてしない妹に掃除を期待することはできない。と、いうことで、部屋は足の踏み場もないほど汚かった。祖母が帰ってくる...。明日はお通夜だ...。
まずは、祖母の寝床を作る為に、掃除を開始した。けれども、私が結婚して家を出た後に建てた家なので、実家と言えども、すっかり他人の家。何をどこへ片づけて良いのか分からない。役に立たない焦り。そして夜、実家から家に帰らなくちゃいけない...。(って言うか、こんな他人の家、『泊まりたくない』が本音)
掃除の手伝いは、次の日に持ち越して、私は家に帰った。

次の朝、手伝いに実家へ行くと、居た居た...。前回の親戚が。私はデジャブを見た。
そう。弟の亡くなり、家に帰り着いた朝を。
体が冷たくなり、冷や汗が出た。気持ちが、何だか焦った。
この時点で、私の精神状態は、すでにヤバかったのだろう。

夫も手伝いに来てくれて、邪魔な家具などを、表にビニールシートを貼って運び出し、ガランとした部屋へ、祭壇が組み立てられた。部屋いっぱいの菊の花の香り。
知ってる?菊の香りって、酸素のようなニオイがするの。
シーンとした静寂の香り。弟が亡くなった夜に、一晩中嗅いでいた香り。

夫の親戚が集まる。みーんなが仲の良くない姉弟妹、8人。それぞれに、一癖ある配偶者付きで。孫も集まってきた。TVで見る『泣き女』よろしく、号泣する。
何かをしなきゃ!役に立たなきゃ!
そのことだけに集中していて、緊張していた私は、冷静に叔父伯叔母を見ていた。
そんなに好きじゃ、なかった祖母。入院後は、目も合わして貰えず、話しかけても、メモを見せても、祖母に無視された。
私は、悲しい?寂しい?ホッとした?忙しい!騒がしい!役に立たなきゃ!緊張している....。
もう感情が、何がなにやら混乱していたのだと思う。

そして、一番初めから手伝いに来てくれていた親戚。その人達は、母の妹夫婦と、ママとパパで、彼女達にとって祖母は、『姉妹の姑』なので、関係のない人。だから、お客様としてもてなさなきゃいけない!!って思った。この家の長女として。役に立たない父は、母の親戚を蔑んでいて、『お手伝いをして当然』の扱いをしていた。自分の母の葬儀に来てくれた、家の片づけ一切をしてくれた、配偶者の姉妹に対して、感謝など見られなかった。だから、その替わりに私が接待しないといけない。そう思っていた。私はこの家の長女だから。

そして追い打ちをかける言葉。私を可愛くて仕方がない、ママとパパが言った。(諭した?教えた?)
「ほら!テーブルも出ていない。お前は○○さん家(夫の家。義父母とすでに同居していた)で、これから取り仕切るのだから、そういうことに気を使わないといけない」
それ以外に、逐一「ここが、こう」と、教え諭された。「ここは、それでも良い。でもお前は、そんなんじゃ、いけない」って。
プレッシャー掛かりまくりだった。私は見られている。観察されている。

翌日、お葬式が終わり、火葬が終わり、何かの用事で一度家に帰ってから、実家へ向かう途中にそれは起こった。
感情が制御できない!
号泣するしかできない!
でも、何で泣いているのか、分からない!!
これが、私の『精神病』の始まりの瞬間だった。

祖母は、ある宗教を信仰していて、そこから葬式を出して欲しがっていた。でも、うちは仏教なので、弟が亡くなって、お墓がやっと ひとつになったので、祖母の願いは聞き入れられず、弟と同じお寺の和尚さんが お葬式を執り行ってくれた。

発作が、そんな時に起きたら、どう思います?
体が冷たくなって、体の血が冷たくなって流れていて、体の中に、もう一つ体があるような感覚。自分の感情を制御できず、泣き叫ぶ。体が震える。それを冷静に見ている私がいる。
私は、何かに憑かれたと思いました。
早く体の外に出さないと!!
焦れば焦るほど、感情が高ぶっていき、そして放心状態になりました。
もう怖くて、怖くて、何かにすがりたい!!そう切に願いました。(『冷静な私』の方は、「だから胡散臭い宗教が流行るのね」〜って思っているのだけど)
お寺の和尚さんには、変な眼で見られました。自分が供養した仏さんに憑かれるだと?!ってプライドもあったのでしょう。
夜は怖くて怖くて、夫にずーっと手を握って貰っていました。眠れませんでした。

次の日、その手の人に見て貰いましたが、何もないと言われました。(その言葉も信用できない!)
そして、縋り付くように、病院へ行ったんです。

はぁ〜 本当は、鬱の軌跡で書く予定だったんだけど...。書いちゃったわ(笑)
で、明日から病院へ行った時のことを書きます。
あれ〜?もう、『エッセイ』になってる? (^^;


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