★ 夏海の日記 ★

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2001年10月03日(水) 初めての体験ダイビング

 2日目は、体験ダイビングをした。旅行前に予約をして、朝1回昼から1回潜る予定だった。
 ホテルでチェックインしたときに、申込用紙に記入をしたんだけど、それには、身長・体重・靴のサイズ・視力など、機材のレンタル用の質問と、病気の有無(現在・過去)や、その他のアンケートのような質問が申込用紙の裏と表に書いてあった。
 実は、私は簡単なアンケートを、『簡単に書けない』性格をしている。つまり、その質問に ただ答えるのではなく、質問の意図を考えるのだ。その質問は、私にどう答えて欲しいのか、どう答えさせたいのか、を考えてしまう。特に今回は無記名ではなく、読まれることを前提として書き込むのだから、考え込んだ。
『慌て者の性格だ はい・いいえ』『泳ぎに自信があるか はい いいえ』
 さて、どう答えますか?
 『慌て者の性格』の設問の意図は、海の中に潜っている時に、パニックにならないかどうか、の質問だと考えた。パニックに陥ると、命の危険がある。何故か酸素を供給している口にくわえているものを外したり、上手に呼吸ができなくなったり、危険な急浮上して肺がどうかなってしまって意識不明になるということを、知識として知っている。
 私は、慌て者ではない。自分だけに関係した『こと』が起こった場合、パニックにならずに対処できる。その点だけ考えれば、『いいえ』だ。
 でも、私はその設問の意図とするパニックになる心配は、『ある』と思った。でも、パニックになってもその状態を冷静に観察している私がいるのも確かだ。そして、それを『はい』と書いても潜るのを許可してくれるだろうか?私の過去の病気を話すべきだろうか?悩んだ末『いいえ』に丸をつけた。
 『泳ぎに自信があるか』には、困った。どれくらい泳げるか なら、書き込める。どれくらい泳ぐことが出来たのなら、自信があると言って良いんだろうか?私は海で育ったので、プールの中のように、何メートル泳げると聞かれると、50mだけだけど、(それも全力で泳いだので、本当はどれくらい泳げるのかは、知らない)海の中で泳いで、沈まないように浮いて(立ち泳ぎ?)と言われれば、泳げると書くんだろうか?この設問の意図は、長距離を泳げることに重点を置いているのだろうか?それとも溺れないことに重点を置いているのだろうか?
 疑問だったので、「はいと いいえの境目」を質問した。「プールでの距離的には50m」だと伝えたら、「海では波があるので、そんなに泳げないですしね〜」と笑って言われた。『普通はそんな質問は、しない』と言われたようで、ちょっとショックだった。友達も、変な質問してるなぁって笑っていた。
 こんな簡単な質問を、サラッと答えられないことを思い知らされて、ちょっと落ち込んだ。こんな簡単な質問に答えるのに時間が掛かっていることに、焦った。そして次の日のダイビングに、ちょっと不安を感じた。

 ダイビング当日、まずはプールで基礎の練習をした。水中めがねの中に水が入った時の抜き方の練習・空気の吸い方&吐き方の練習・耳の空気の抜き方の練習・水中では声が出せないので、サインも教えて貰った。
 耳の空気とは、新幹線でトンネルに入ったときや、飛行機で上空に上がったときなど、気圧の変化で耳の中が圧迫されたような、あの感じで、普段の対処として、アメを舐めたり、あくびをしたり、鼻をつまんだままで鼻をかむようにいきむと、耳がクリアになる。水中では、アメを舐められないので、つばを飲み込む・マスクの上から鼻をつまんで〜 という対処で、『耳抜き』をする。
 私は、あくびをしないでも、あくびをした感じで耳の空気を抜くことができるので、簡単に練習をクリアできた。緊張して唾が出ない私を心配していたインストラクターの人は、安心していた。
 ただ、酸素を供給する口にくわえるやつが、上手にくわえられなくて、どうしても外れてしまうので、インストの人に質問したら、口の中央で自然に奥に押し込めば良いと教えてくれ、私の場合「左だか右だかにずれる傾向にあるから、注意してね」と言われた。でも鏡がないので、どういう位置が真っ直ぐな位置かということが判らない。
 そう。私は自分に自信がないので、外から見ないと加減が分からないのだ。その『姿の』確認が出来なかったので、不安が残った。(『普通』は、誰もそんな質問はしないし、口から外れると言う人は初めてだ!と友達に笑われた)

 さて、1回目の本番が来た。船でポイントまで移動し、準備をした時には、つばもちゃんと出てプールの時ほど緊張しなかった。そして潜り始め、絶えず『耳抜き』はOKか?とインストの人が聞いてくれて、全然OKだとサインを返し、ゆっくりと順調に深く潜っていった。
 周りを見ると、熱帯魚のような魚が泳いでいる。でも、妙に現実感がない。水族館で魚を見ているような感覚だった。それに対してショックを受けた。まだ早かったのかも...そう思った瞬間、急に不安になった。体中の毛が総毛立ち、水が急に冷たくなり、呼吸も怪しくなった。叫びだしたい、あの感じ。恐怖だった。浮上して欲しいとサインを出し、呼吸だけはしないと!と(呼吸を止めてしまうと、肺を壊してしまうらしい)それだけに集中し、無事海上に上がれた。
 空気を直接口から吸い、大きく深呼吸をし、緊張を解いた。もう無理だぁ!私を置いて、友達と2人で潜ってくれーー!って思った。友達はC級のライセンスを持っているので、迷惑は掛けたくなかった。(パニックになっているって言うのに、私ったら -_-;)
 呼吸が整り、取りあえずくわえて!って言われて、パニクった時にそれによって何かするのかと思って口にくわえたら、なんだか分からないうちに、インストの人に、強引に海中に連れて行かれた。初めと違って、容赦なしに(笑)どんどん潜って行く。(耳抜きが簡単にできると安心したからだろう)
 今度は緊張しながらも海底まで行けた。海底にロープが張ってあって、そこに掴まるように指示され、掴まっていると、丸いパンを渡された。白と黒の縞模様の三角の魚が、視界一面に集まり、凄い勢いでつつかれた。やっとパンが無くなってホッとしたら、もう1個渡された。
 魚にエサをやった後に、泳ぎ始めた。フィンを初めて履いたので、練習もしていなかったんだけど、バタバタ早く動かすのではなく、ゆっくりと足を動かすようにジェスチャーで教えられ、手を繋がれ、泳ぎ始め(させられ)た。
 海の中は綺麗だった。魚にエサをやった場所は、綺麗なサンゴとは思わなかったけど、泳ぎ始めたら、TVで見た通りの景色だった。魚も私が知っているものではなく、カラフルで、可愛かった。途中でハリセンボンを掴んで手渡された。居酒屋でつり下げられた、膨らんだ状態で固まっているのしか見たことがなかったので、面白かった。(ただ、これをどうするの?って困ったんだけど)ウツボも見た。つつくと白いひも状のものを出すナマコを見付けたインストの人が、私の指を掴んで、つつかされた。強引で、お茶目なインストラクターだったな(笑)
 最初にパニクったけれど、かなり楽しめた。でも最後まで、自分の目で見ているという『現実感』は、なかったような気がする。そして上に上がったら、見た魚を忘れてしまっていた。
 プログラムを最後までこなせたので、ホッとした。船の上で出してくれたお茶(さんぴん茶)が、冷たくて美味しかったな。

長くなったので、お昼からの2本目は、4日の日記に書きますね。


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