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2002年03月01日(金) 彼女と彼と私

京都の美人女子高生Y子ちゃんと私がはじめて会ったのは
一昨々年の8月のことだった。


上京とは云っても、彼女が受講する予備校の受験用合宿は箱根であるので
彼女が東京に滞在するのは、京都から来た日の午前中と
京都へ帰る日の夕方の数時間だけなのだ。

私はもちろん、両日共に彼女を出迎えそして見送ろうと思っていた。
それでH君はどうするか尋ねると
「俺は行きは無理だなぁ。帰りだけは行くけど」という返事。
彼も9月に大学院の入試を控えている。

うーん…でも滅多に会えないのに。

その頃、私たち三人はかなり仲がよかった。
三人だけの掲示板なんてものを持っていたくらいに。


ただ、彼は3月に関西の工場研修の際に一度、彼女と会っているのだ。
そのときに「Y子ちゃん、かわいかったよー」と私にメールしてきた。
「ふ〜〜ん」と思った。



たしかに彼女はかわいかった。 というより美人だった。

色白で面長で切れ長の目のいかにも京都美人で、すらりと背が高く
私が勝手に抱いていたボーイッシュで小柄なかわいいイメージを
あっさりとうち砕くほど「女」の雰囲気を持っていた。


新宿で食事をしながら、私はY子ちゃんにそれとなく
「ねえ、行きは私とふたりで会ったんだから、帰りはH君とふたりで会う?」
と聞いた。私は遠慮しよう、と思っていた。

「え、どうしてですか? 別にいいですよ。3人で」
と彼女はちょっと笑って言った。

私は自分の携帯からH君に電話をかけて、彼女に回す。
彼女は当時まだ携帯電話を持っていなかった。
Y子ちゃんは嬉しそうに話していた。




5日後、私は再び新宿にいた。今度は三人だった。
レストランでも電車の中でも、私は一度もH君の隣には座らなかった。
Y子ちゃんと彼を隣りに並ばせ
私は若いふたりの付き添いのように振る舞った。



 H君と会うまでの私の中の仄かな恋心が、彼と会ったからといって
 全て消し飛んでしまったわけではなかったのですが
 けれども、消し飛んでしまった顔をしたくなるほど、私たちのあいだの年齢差は大きく
 彼女の存在もまた大きかったのです。




東京駅に移動して、京都行きの夜行バスに乗るY子ちゃんをふたりで見送った。
バスの窓から懸命に手を振る彼女を
いまH君はどんな顔で見ているのだろうか・・・・

なんとなく顔を見上げるのがはばかられた。


完全にバスが見えなくなってから
私はようやくH君の方を振り向いた。


「・・・・」
彼が何か言いかけた。
私は少し緊張して次の言葉を待った。



「ねぇ」
「?」







「明日夏コミ行かない?」(H君)




はあ!?









翌日私たちは、炎天下の東京ビッグサイトに立っていた。



続く     ・・・・・・かもしれない? 






 


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