暗いひびわれた、湯気に曇りがちな壁鏡の中に、中尉は顔をさし出して丹念に髭を剃った。これがそのまま死顔になる。見苦しい剃り残しをしてはならない。剃られた顔はふたたび若々しく輝やき、暗い鏡を明るませるほどになった。この晴れやかな健康な顔と死との結びつきには、言ってみれば或る瀟洒なものがあった。着古した服を洗濯してから捨てるたましー。