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君の名を呼べない(前編) BL■ACH
2011年04月11日(月)

※くれぐれも念押ししますが、これは劇場版第3弾とは何の関連もありません! その辺、妙な期待をしないで下さい。

※下ネタと言うにはささやかな下ネタ、あります。万が一意味が分からなくても、家族や異性のお友達には質問しないこと。ましてや教師になど、絶対聞かぬよう。未成年者は年齢が成年に達するのを、素直に待ちましょう・・・つまりは、そーゆー方向の話題です(ーー;;;)

※ち☆ はイチオリ派です。この話もイチオリ前提です。現在連載中の原作とは、かーなーりー食い違った内容となってます。だって思いついたの、藍染編の時だったんだもん・・・☆



「悪いけど井上さん!
これからは俺のこと、『君』付けで呼んでくれねえか!」

 とある日のこと。
 ウチの縫いぐるみの居候がいきなり、遊びに来ていた客にそう持ちかけた。握りこぶしつきの気合いと共に。


君の名を呼べない


 確かアレは、俺が一緒にテスト勉強をしようと、井上を俺の部屋へ呼んだ日だった。
 まあ試験勉強と言うのは半ば口実で、本心は「テスト中も井上に会いたい」からなんだが、彼女は嫌がらずに・・・どころか、ひどく嬉しそうに来てくれた。

 で、その事態にもっと喜んだのは、件の居候・コンなわけで。
 一応はテスト勉強が建前なだけに、俺たちが勉強中はおとなしくしていたものの、休憩に入るとイロイロと騒々しくなった。俺を差し置いて(!)井上に飛びつきかけたり(むろん足蹴にして阻止した)、教科書を眺めて分からなかったことを尋ねたり(教科書の大半が該当したが)。

 その間、井上はコンのことを『コンちゃん』と呼んでいたのだが、どうやらそれが気にいらなかったらしく───唐突に、先ほどの発言が飛び出したんだ。
 本人曰く「子供っぽい」だそうで、俺達同様是非『君』付けで呼んでくれと、しつこく念を押していたっけ。

 当の井上は、と言うと、コンの意図が今ひとつ分からないまでも、

「じゃあ、今度からコン君って呼ぶね?」

と快くその申し出を受けてくれ、その場はとりあえず収まったのだが。

「・・・おい一護。ちょいと男同士の話し合いをしようぜ?」

 井上が帰り、部屋の後片付けをしていた俺にコンが、ヤケに神妙な顔つきで話しかけてきたのである。


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 珍しく、奴の眉間には皺。「縫いぐるみがどうやって眉間に皺を寄せるんだ?」との意見も出ようが、そんなことを気にしていたらコンの存在自身ありえねえことになるんで、この際は棚へ上げておく。

 ・・・まあつまりは、いつものおちゃらけた雰囲気じゃなかった、って意味さ。

 しかし、常日頃の行いが行いだ。少なくとも俺は、奴の言い分を言葉通りに受け取る気分にはなれない。
 そして、俺と同じ心持ちの奴が、実は室内にもう1人いたのである。

「何だ、男同士の話とは。コン、私は除け者なのか?」

 たまたま今日俺んちに来ていて、当然井上との勉強会にも参加していたルキアだった。
 彼女にはいろんな意味で弱いコンのこと、思わぬ方角からの横槍に、途端にうろたえ始める始末だ。

「そ、そんなつもりはありませんぜ、姐さん。ただ、その、男同士じゃないと分かり合えない事情って奴も、あるってことで・・・」
「だから、その『男同士でないと分かり合えない』事情とやらは何だ? と聞いておるのだ、私は」
「う・・・」
「私に、隠さねばならないことなのか?」

 ───知ってる奴もいるとは思うが、念のため。
 ルキアはいたく、井上のことを気に入っている。彼女を助けたいがために、尸魂界からの制止も何のその、恋次と一緒に虚圏へ、俺たちと合同すべく乗り込んだぐらいだ。

 ひょっとしたら所謂『女のカン』で、何かよからぬことをコンが企んでいるのでは、と懸念したのかもしれない。だから───今になって思えば、だが───自分がこの場にとどまることで、コンの企みとやらを阻止しようとしたのではないだろうか。

 ルキアの『私を出し抜いて井上にチョッカイ出そうとしても、そうはさせないぞ』を言わんばかりの視線に、さすがのコンも折れた。

 が。てっきり『男同士の話し合い』をやめるのかと思いきや。

「・・・だあああっ! 分かった、分かりましたよっ、姐さんも聞いててイイですからっ。
けど、今のうちにくれぐれも断っておきますけど、『聞くんじゃなかった』だの『女の私に聞かせる話題ではなかろう』とか言うの、絶対にナシですからねっ! マジっすよっ!」

 コンは予想に反して、ルキアを同席させてまでも、自分の意志を貫く道を選んだのである。

 ・・・これには俺にも困惑するしかねえ。
 だって、コンの今の言い草じゃ、あまり人には聞かれたくない話題であることは明白。なのに、ルキアが居合わせるのを許すなんて。

 よっぽど切羽詰った事情があるのか───自然、眉間にいつもの倍、皺が寄る俺に、だがコンは、なかなか本題に入ろうとしなかった・・・・・。



(後編に続く・・・)



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