ちゃんちゃん☆のショート創作

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小金持ちも苦労する(モン○ーターン)
2007年05月17日(木)

 お久しぶりのちゃんちゃん☆ です。何とかPCの方も、調子戻ったようです。
 で、こっちもそろそろ更新しとかないとなあ、と思っていたんですが、フト思い立ち某・大手オークションを覗いてみたら! 以前気になっていた物件の入札締め切りが、ぬわんと今日だって話。
 こりゃ書かないとウソだよね、と、思い切って書いてみました。一応このニュースがTVで話題になった当時思い付いた話なんですけど、ネタが今ひとつ練れなくて、ボツくらわしてたんです。ハイ。・・・あ、でもこのニュースって朝流してたけど、夕方って流してたっけ? まいいか。
 では、あとがきでまた。


***********

 突然だが。
 『無口王』こと勝木景虎が所属するペラグループは、当然のことながら県内にペラ小屋を持っている。
 そしてペラ小屋、というからには、ペラ調整のために出入りするのがほとんどではあるが、たまに違う目的の時もある。例えば、何故か自宅に競艇チャンネルを引いていない某・先輩のために、SG決勝戦レースのビデオを見せてあげるため、とか・・・。

 ちなみにその某・先輩は、今でも自宅ではあまりテレビを見ない性格らしい。だから、彼がここに滞在している際小屋のテレビで流しているのは、たいてい競艇チャンネルか、もしくはニュース番組に偏っていたり、する。

 ・・・後にして考えれば。
 今回のちょっとした騒ぎの原因はひょっとしたら、先輩のその偏った視聴傾向だったんじゃなかろうか、と勝木は思うのだ。



 その日。
 メンバーがあれこれと議論を交わしながら、より良いペラを作っている最中のことである。誰かがスイッチを入れたテレビではちょうど、国営放送のニュースを放映していた。

「では、次のニュースです・・・」

 そう言って、まじめな顔のアナウンサーがその日のニュースを読み上げていたのだが、皆の耳に「香川の離島」と言う単語が飛び込んできたのは、何の運命のいたずらか。

「は? 香川??」

 慌てて音声のボリュームを上げ、改めてニュースを聞いたところ。
 インターネット大手の某・会社が行っているインターネットオークションにて、香川の離島にあるリゾートホテルが競売にかけられた、とのニュースを知らせていたのだ。

「ほお、S島か。地図上でやったら結構近いの。サーフィンする拠点に出来たら、便利やろうなあ」

 そう嬉しそうに呟く蒲生の言葉に、後輩たちは苦笑を浮かべるしかない。

「そりゃ、確かに近いですけどー。S島って、フェリーでしか行けないでしょ?」
「何言うとる。高松からやったら、そう遠くないやろが。それも1時間かからんと行けるんやし、1時間おきに船出とる、ちゅうても過言やないし」

 ・・・高松はれっきとした、香川県内である。
(※地理オンチのちゃんちゃん☆ は調べてはじめて知った★)

「で、でも、フェリーだってお金かかりますし。船会社の都合で、出航できない日だってある、っていいますよ?」
「お前ら、そこそこ稼いどるやろが。それに、いざとなったら船でも買えばええわけやろ。そもそもワシら、船舶免許持っとるやないか」

 ・・・競艇選手はすべからず、船舶免許取得を義務付けられている。

「だ、だからって、最低入札金額見ましたか? 2千万ですよっ!」
「そうそう。それに維持費とか、ホテル経営云々とか考えたら・・・」
「ワシ、SG2つとったし、賞金王決定戦にまで出たから、金ならあるぞ。それに、別に利益なんぞ考えとらんからなあ。知り合い呼んで楽しく遊べたら、それでええし」

 ・・・ちなみにSG1つは4000万(賞金王シリーズは除く)。


「そりゃ、蒲生さんならお金ありますでしょうよおおおおっ!!」
「でも俺たちは、そこまで金ないんですからねっ!」
「大体、そんな維持費のかかるペラ小屋なんてえええっ!」
「あのな・・・お前ら何を聞いとったんじゃ。ワシはサーフィンの拠点に欲しい、ちゅうとるやろうが。誰がペラ小屋に、こないな高いもん買うかい」

 蒲生が呆れ顔で発した言葉も、だが勝木以外のメンバーには聞こえなかったらしい。

 何故なら。
 彼らは若気の至りでふと、キラキラとした想像をめぐらしてしまったのである。

 青く美しく輝く海のそば。
 おしゃれなプール付きホテルが、もし自分たちのペラ小屋(←この辺が職業病☆)になったら。
 下げ膳据え膳のリゾート気分で、ペラ作りに励めるではないか。イヤ、そうカロリーのある料理は楽しめないが、GFでも呼んだらきっと、ムード満点だろうなあ・・・。


 が、現実は残酷であり、叶わない甘い夢を見ただけ、ダメージは当然デカい。

「おい、今度の休みいっそのこと、海外旅行行こうぜっ!!」
「おうっ! 男同士で潤いないけど、彼女探しのために同行してやるぜい!」
「うう・・・今度奮発して、彼女リゾートホテルに連れて行ってやろうかな」
「お〜いお前ら〜、ペラ作りはどないしたんじゃ〜」

 皆して遠くの方へ行ってしまった後輩と、彼らを心配する蒲生をよそに。
 勝木はいつものごとく無言のまま、ペラ作りに専念するのであった。

***************

「・・・・・で? 私にどうしろ、って言うんだい??」

 後日。
 たまたま蒲生が斡旋されていなかったG1にて、勝木と同じペラグループの1人は、勝木を無理やり同行させた上で榎木の元へはせ参じた。

「だから。もし蒲生さんがまだホテルの落札諦めてなかったら、頼むから止めてくださいっ。たのんます! 榎木さんぐらいしか、蒲生さん窘められる人って、考え付かないもんで!!」
「また、何でそんなことを・・・」
「だって、手の届くところにホテルリゾートがあるって思ったら、つい想像してしまうんですよっ! 海の近くのペラ小屋、ってヤツをっ!!」
「でも、蒲生さんはあくまでもサーフィンの拠点に、って思ってるんだろ? プライベートに関しては、私がとやかく言える立場じゃないよ。仮にも私の方が、後輩なんだし」
「そんなあああっ! 榎木さんだけが頼りなんですぅううう!」

 困った顔で榎木が勝木を見れば。
 どちらかと言えば、先輩たちの度を過ぎた妄想の方に辟易している、と言った感の勝木が、深々と頭を下げる。

 手の届くところに欲するものがある、ということの残酷さを、榎木は他人事ながら苦笑とともに、思いやらずにはいられないのであった。

 ちなみに。

「私も実は、あの物件興味あったんだけどね・・・。蒲生さん家に直接訪ねていくより、中間点のあそこの方がお互い移動が楽だから。
・・・言わぬが花、だな」

《おしまい》

*************

※最後がちょびっと、や○い風になったかもしれないですが、ご了承ください。
 ちなみに、物件落札に反対する後輩の、蒲生さんへのツッコミは、実はニュース見た直後にちゃんちゃん☆ が思ったことそのまんま、だったりします。
 ただちに、脳内の蒲生さんに、ツッコみ返されましたけどね★

「フェリーでしか行けない→船舶免許持ってるんだから何とでもなる」
「お金がかかる→ワシはSG2つとっとるもんv」

 ・・・なんちゅーか、ここまで想像力があると、半分病気ですな、こりゃ。







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