たぶん覚えてはいないだろうな 彼のことだから
明日のことを ぼんやりとそう思う
メール受信のランプが点滅中 ・・・彼? 思ってしまったときにはたいてい外れるので なーんの期待もなく開くとそこには
「今から逢える?」
「こっちにこれる?今日バイクなんだ」
「会社で待ってる」
このとき に知った 彼の会社の位置 また呼び出して ったく・・・
「今から行くね」
「待ってる ひとり寂しく(爆)」
彼のマシンに逢うのは何年ぶり? こちらの方も嬉しかったりするんだ
駐車場に乗り入れる マシンが目に入るけれど 彼の姿がない 出迎えなし??? たぶんあのマシンの奥にあるのが彼の仕事用の車だろう 寒いから乗って待ってるのかな・・・ 降りてゆっくり近付く
後ろのスライドドアを開け放し そこに座っている彼 私は即マシンにご挨拶(笑)
「これ 渡したかったんだ」
手渡されたものは あるマラソンランナーが この前のレースで身につけていたものだと言う
「血の巡りがよくなるんだって」
買うまでのいきさつや 買いに行ったときの話など お約束のご説明(笑)が続く
その終わりに
「と言うわけで 1日早いけど」
覚えていてくれたんだね 明日が誕生日だってこと
昨日箱根にツーリングに行ったそうで バイクの話になる
「メットがもうひとつあれば この辺1周してもいいんだけどね」
くーーーーーーーっ!何でメットがここにないの!! ってここは会社だもん あるわけないか・・・
「乗るとしたらここ?」
「そう これが足掛け」
普段は収納されている足掛けをセットし 彼はマシンにまたぎ
「後ろに乗ってみなよ ここに足掛けて」
おわっ!いいんですか先生!! 足を掛け 恐る恐る乗ってみる
前が見えるように=進路がわかるように 後部シートの方が高くなってるそうで 曲がるときにはドライバーと一緒に身体を傾けた方がいいなんて 全然知らなかった
「手はどうしていればいいの? しがみついちゃダメよね?」
「手はこうしてここにね・・・」
私の手を掴み ライディングジャケットのポケット脇のロープ?を掴ませる
彼は熱心に説明してくれてるんだけど わーい!と思っちゃった
「そろそろ帰ろうかな」
と言う彼に「ふぅぅぅぅん」と返事すると 何それ?と笑う
「30回だけキスしない?」
「うーん やめとく」
そう言いながら彼は苦笑いしてる なんで?
「それだけじゃ収まりそうにないから」
時間も遅かった 彼はバイク 今からキスを始めると 離れられる頃には きっと日付が変わってる 明日も仕事だと言うから 自分の体を考えてのことだろう 彼らしいわ
別れ間際にふっとキスを仕掛けてみる 彼はそれを交わす 1回でもしてしまうと止まらない・・・そうだよね
身につけるもの 毎日持ち歩けるものが またひとつ
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