「ダメ 離れられない… この感触覚えていられるかなぁ」
と言う私に彼は
「大丈夫」
と言い 両方のまぶたにキスをする
「バッテリーあがった・・・ 帰るに帰れない〜♪(泣)」
彼からのメール受信
ひとりぼっちで充電中 おまけに携帯のバッテリーも残りわずからしく
「ひとりじゃないよ 私がこうして相手してるじゃん
携帯のバッテリーがない? じゃあコンビニ行って 充電器買って来い」
と送ると
「この状態じゃ車から離れられないよ
だったらさ 時間あったらこっち来れる?」
だったらさぁ? なんだこの言い方は!と半ば呆れつつも顔が緩み 支度を始める私
「30分後くらいなら出られるけれど・・・ 私に出来ることがあるの?話し相手?」
「それ以外に何がある?(笑)」
もし彼の電話番号を移行ミスしていなければ きっとここで掛けただろう いつ途切れるかと冷や冷やしながら 大体は知ってる彼の会社の場所を聞く
22時半のドライブ こんな時間にひとりで走らせるのは久しぶり 途中 渋滞でルートを変え そんなに急がず彼の元へ向かう
教えてもらったとおりに曲がり ゆっくり走りながら敷地内を覗くと 彼が立っている 彼の車の隣に横付けして止めた
「えーーっと 私はいったい何しに来たんでしょう?(笑)」
「だから話し相手・・・」
彼が笑う
ボンネットを開けたままの車
「この目盛りがここを過ぎたらOKなんだけどねェ」
まだまだ遠そう ふいに彼が
「ほらこれ」
といって見せてくれたものが 昨日言ってた ガラス製の魔よけのお守り ペンダントになってる ポケットにでも入れてあったのか とても温かい
私はそれを首に掛け
「わーい ありがとう」
「えっ?今何かすごいこと言った?(笑)」
寒くなってきたので 彼の車の中に入る 私は後部座席 彼は背もたれをフラットにしてある運転席へ
そこでいつものように長い話が始まる 魔よけを買ったいきさつ 先日再び行った検査の内容 最近客先で言われたこと などなど
ここで彼の携帯のメール着信音が鳴る
「どうせこんな時間に来るのは たいしたものじゃないから」
と言って見もしない
「私がホントに来ると思った?」
「半分冗談で言った(笑)」
「だから『だったらさぁ』なのか!」
「うん 来るなら来るでこれあげようと思った」
おどろいた
まだ首に掛けたままだったお守り それまで大事に身に付けていたのに いただいてしまっていいのね
「どうやって持ち歩いてたの?」
「首に掛けてた だから温かかったんだよ」
彼がお茶を含み 突然キスをしてくる 冷たいままのお茶を上手に口移し
何度かのキスの後 外をじっと見つめてる
「ん?久しぶりだなぁと思って あの車」
私からのお迎えはしなくなっちゃったもんね
数台並ぶ自販機の前に止めてあったので いつもよりとても明るい車内 久しぶりのキスに ぎこちなさを隠せない私
「目の前にいる人が好きな人〜? あれ返事がないなあ」
「キライだったらキスしませ〜ん」
「一度キスすると 思い出すよね この感触」
「じゃあここの感触は?」
ジーンズの中に手を伸ばす彼
「見つけた」
クリをもてあそび 指を深く入れてくる その指を彼は何度も舐める
向かい合わせにまたがり 耳を攻めると
「ムスコが反応しちゃうでしょ(笑)」
ああ やっぱり抑えてるんだ ここでスローペースの意味がわかり納得 やっぱりいつもの場所でないとね
「エンジン掛けてみるかなー」
コードをはずして戻ってきた彼がキーを回す 掛かった
動き出した車は 私の車の反対側に並んで止まる 彼はすぐに後ろにいる私の元へ 暗さを得た車内で 再び抱き締めあう
ここで彼は私の「覚えていられるかなぁ」との言葉に
「大丈夫」
と優しく言い まぶたにキスをする
「これで目が覚えてる 鼻も覚えてる 耳でも覚えてる 首でも覚えてる」
私を包みながら キスした場所をひとつひとつ挙げていく
「でも一番キスして欲しい場所が今日はないよ」
思わず出た言葉に吹き出す彼 そして
「そこにキスしてあげようか?」
優しく尋ねる 迷った でも今夜のこの場所では明るすぎるし 近くを車が通るのでダメ
「ううん それはこの次にしよう」
「欲求不満?」
「うん(笑)でもそれは私だけじゃないもんね」
再びジーンズの中に手が伸びて 中をかき回す 声が大きくなる
「気持ちいい?
今度はムスコがお邪魔するかもしれませんが」
いつもと違う場所で いつもよりも短い時間だったけど 彼に触れることが出来た夜
もっともっとたくさん話したのに 覚えていない
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