moonshine  エミ




2003年11月15日(土)  雨のロストライダー

 雨が降る降ると天気予報がさかんに言っていたので、講座の開催場所まで歩いて出かける。 
 ちちち遅刻しそうーーー、と途中からたびたび走る。
 気づいたら、あれ? 見知らぬ通りだ。
「あのう、中央区役所って・・・・(←会場はその近く)」
 道を行くおばさんを呼び止める。
「あの先の角を左よ」
 走って走って、行き過ぎていた。 
 数分遅刻。

 今日の授業は、なかなか面白かった。
 話を聞きながら、本屋に走りこみたくてたまらなくなるような気持ちと、
 自分の不確かな将来、何より確固とした意志がいまだないことに対する焦りで、
 心はぐらぐら煮える。

 終わって外に出ても、雨の気配はなし。
 むしろ空には弱気そうではあるものの、晴れ間がのぞいているではないか。
(なんてこったーい!!)
 いったん帰ることにする。
 てくてく歩きながら、帰り道にあるお店に、いくつか入ったりもする。
 家でごはんを食べて、愛チャリで再出陣。
 
 長浜CBにて、イベント『untitled』。
 お友だちのまおちゃんが主催者のひとりで、たなかまさん、Fさん、みぎわさん、ゆみえさん、しょーこちゃんにりえちゃんなど、いろんな人が見にきている。見知らぬ人も、もちろんたくさん。盛況だ。
 
 untitled、という名前がとてもぴったりのイベントだった。
 出演の5バンドは、それぞれまったくカラーが違う。
 東京、高知、北九州、長崎。出身地もこのとおり。
 よくこんなブッキングできたよなあ、と、まずそれにびっくりだ。
 なかなか見られるもんじゃない。楽しみにしていた。

 私が知っているのは魚座だけ。
 彼らといったら最高だった。
 いつのまにやら前へ前へと吸い寄せられてって、ステージ前で見た。
『海』『夜の二人乗り』『シルバースター』いつ聞いても好きな曲。
 なんといっても、『雨』と『時間が過ぎる』だ。
 歌詞がよく聞こえて、胸をかきむしるような切なさにじんと痺れた。
 藤井さんのつくる歌は、なんてなんて、ずるっこいのだろう。
 決してありきたりじゃないのに、誰の心にもあるとてもデリケートな、触れられると涙が出るような琴線を、かき鳴らしていく。
 最後の曲では、がらっとパートが変わって、ベースの藤田くんがフロントでギターボーカルを、キーボードのマナミさんが細い体に重いベースを、ギターボーカルの藤井さんはキーボードの前に、ゾラさんも立ちあがってのドラミング。
 この歌がまた何とも、よかったんだ。歌詞が何ていってるかよくわからなかったけど。なんとも雰囲気が。
 ギリギリの感情を表現する鋭いバンドだけど、本当に音楽を楽しんでる、魚座。

 高知出身で全国各地でライブをやっているというムシャクシャ(蟲屋、とグッズなどには屋号)、 
 着流し(?)の和服で、舞台の上で踊る役者さんのような男の人がいてね。
 ステージが始まった瞬間、うわー、と目を奪われた。
 かっこいかった。
 曲も、かっこいいリフを聞かせたかと思えば、'80年代歌謡曲っぽいメロディーもあったりして、MCも気が利いてて、あっという間に感じた。
 名前はよく聞いていた、長崎からきたファンタジーズ・コア、
 こちらもステージの最初から客の心をぐっとつかんできた。
 立ちボーカルのフロントマンが、歌でジェスチャーで小物で楽しませる。
 演奏がすごくびしっとしてて、一糸乱れぬという感じだった。
 やっぱり、演奏がうまいって、気持ちがいい。
 ドラム以外の4人で一斉に大きな声で歌うところが何箇所かあって、
 そこも興奮しどころ。
 サニイサイドで、南くんとかしわいさんが同時に大きい声で歌うところも、(あんまりやらないけど)いつも気分が昂揚する。
 迫力あったなあ。
 
 帰りは大胆に、道に迷う。
 方向感覚がないくせに、夜目もきかないくせに、
 早そうな裏道を発掘しようという冒険心に時々かられる。
 夜の長浜鮮魚市場、初めて通った。
 ずらりと屋台が並んだ様子は、中洲の川沿いとは全然違う。
 ネオンに彩られていない、裸電球や単色の看板の明かり、のれん、
 あの辺で働く人たちの飲み場だ。
「こんなところがあるんだね、へぇー」なんて感心している場合ではなく、
 南北の方向すらわからなくなって、ふと信号の案内板を見ると「荒戸」なんて表示してある。
 あ、あらと?! とても遠くまで来たんじゃない?!
 コンビニに入り、売り物の地図で現在地を確認(何やってんでしょう・・・)
 とても遠くまできていた。
 あーあ、と思いながらエッチラオッチラ帰っていると、
 なんとここへ来て、雨が降り出した。しかも、割と力強く。
 こんなにずぶ濡れになるのは、いつぶりだろう。
 結局、スムーズに行けば20分くらいだろうに、一時間かけて帰った。
 最後のほうはむしろ、おもしろい気分になっていた。
 顔からぼたぼた雫を垂らしながら、家の近所のコンビニで、食パン買ったりして。

 寝ようかな、というころ、着信音、鳴る(Dance to the Musicです。)
 久しぶりに話すお友だち。思わず長電話。





↑エンピツ投票ボタン 押すとコメント変わりまふ

My追加
Mail Home

BBS blog


<< >>