moonshine  エミ




2003年01月11日(土)  派生 derivation

 興味が広がっていくのは、深まっていくのと同じくらいに面白い。

『徳川慶喜家の子ども部屋』読み返し終了。
 最後の将軍の摘孫の姫君として、お屋敷で無邪気に過ごした少女時代。
「お召し(着るもののことをこう言っていたらしい)を自分でたたむような家には、嫁にやらないよ」
 と母に言われていたというからすごい。
 ちなみに、母は「おかあさま」でも「母上」でもなく、「おたたさま」です。
 姉妹でも、小さな頃から「喜佐さま」「久美さま」と呼び合っていたというのもすごい。
 でも、木登りや冒険ごっこが大好きで、愛読書は少年雑誌。
 昭和15年、譜代大名であった高田の藩主、榊原家に嫁ぐ。
 夫は陸軍中尉。
 夫婦で政治についてなどもよく語り合っていたようで、戦中の日記はすごい。
「アメリカの空母によりも国内の癌に体当たりせんと我思ひをり」
 激しい。
 東京大空襲の日に、一歳の娘が気管支炎で息を引き取ったくだりは、抑えた筆致だけに何度読んでも涙が出る。

 次の読み返しに入った。
『菊と葵のものがたり』(中公文庫)
 去年の今頃に買った本だったと思う。
「徳川慶喜家の子ども部屋」の著者、榊原喜佐子の姉にして、
 幼い頃から「雲の上に上がる」ことが決まっていた、高松宮妃喜久子の著。
 葵の徳川家に生まれ、菊の皇室に入った人。
 いま、70ページほど。これまた面白い。

 それから、並行して
『天皇家の人々』(神一行 角川文庫)
『祈り 美智子皇后』(宮原安春 文春文庫)
『雅子妃の新しい皇室づくり』(松崎敏弥 講談社+α文庫)
『昭和史が面白い』(半藤一利・編 文春文庫)
『良子皇太后』(河原敏明 文春文庫)
 なども、関連するところなど、ところどころ拾って、読み返していきたい。
 基本的に歴史に関係する書物は好き。
 いろいろ、持ってるものです。

 今は持っていないけれど、関連してこれから読みたい本として、
「明治天皇」(ドナルド・キーン 新潮社)、「殿様と私」(榊原喜佐子 草思社)、「二十歳のころ」(立花隆 新潮文庫)
 など、次々に思い浮かぶ。

 そもそも、『徳川慶喜家の子ども部屋』を読み返そうと思ったきっかけは、お正月に読んだ『退屈姫君伝』(米村圭伍 新潮文庫)だ。
 江戸時代の架空の藩を舞台にしたこの滑稽小説が、何だかお正月とぴったりマッチングしていたのだ。
 それで、「次も時期とリンクした本を」と思って何となく買ったのが、『初ものがたり』(宮部みゆき 新潮文庫)
 江戸のお正月ごろから始まるこの小説も冬休みの読書にぴったりだった。
 こうなると、また「年明けシリーズ」を読みたい気分が高まるのが、人情(?)ってもんでしょう。
 それで目に留まったのが、本棚にあった『徳川慶喜家の子ども部屋』だったというわけだ。
 古き良き華族の風習を守る、夢のような少女時代が綴られているこの本は、
 年明けの何だかおめでたいような、晴れがましい、すがすがしいものを求めていた私の手に、すっぽり心地よくおさまった。

 そして今は、皇室や近代史・昭和の風俗や傑人について書いたものを読み返したり、新たに読んだりしたい気持ちでいっぱい。
 こうやって、派生していく興味の方向をどんどん追っていくのって、すごく面白いんだよなぁ。
 そう、そこに、目的なんてないのです。

『研究そのものが面白いんだ。
 目的を見失うのが研究の真髄なんだ』(「詩的私的ジャック」森博嗣 講談社文庫)
 
 これって、わかるよなあ。
 役に立てようとか、まして、人に褒められたいとか認められたいとか、いっさい関係ない。
 ただ、読んでる今が、おもしろくてたまらないだけ。
 面白いから読んでる、それだけ。
 いつか何かの役に立つことも、あるかもしれないけれど。それはあくまで、副産物なのだ。

 今日、しんちゃんが見たという夢の話、笑った笑った。

 歯医者に行った。春からは社会保険料も上がるし、その前に一度行っとこうと思ってたのだ。
 すっきりした。きちんと磨いてるつもりでも、どうしたって歯石って、たまっちゃうものです(私だけ?)。
 親知らずについてのアドバイスや、現在の歯茎の状態(幸い、まあまあ良かった。)を教えてもらう。
 今後も一年に一回くらい、行こうと思う。
 
 雑誌「日経WOMAN」がスローライフの特集だったので、買ってじっくり読む。
 これ、面白かったので、また連休中くらいにちょっと詳しく書こうっと。

 夜は親と近所のとんかつ屋さんでお腹いっぱい食べる。

 最近3ヶ月ほどの自分の日記、書き出しの部分だけ読み返す。
「書き出し、書き終わりって工夫したいな」
 という気持ちが、普段から少しだけある。
 自分の書いたものだけに、けっこう面白かった。





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