moonshine  エミ




2002年10月08日(火)  傷のあるりんご

 5年来の愛過多、あっ間違えた、相方のしんちゃんは、実は少し、左足が悪いのです。私と出会うずっと前から。

 ちょっとあまりない病気で、手術をしたこともありますが、高名な病院にずっと通っても、お医者さんでもどこをどう治せばいいのかはっきりわからないような、そんな悪さです。
 もちろん歩くことはできるし、車にも乗れる、だいぶ仲良くなって長いこと一緒にいないと、人は気づかないくらいです。
 でも、たくさん歩いて調子が悪いと、足が痛くなって、高い熱が出たりします。緩慢に、だけどだんだん悪くなっていくような症状。本人の心の中では嵐もあるでしょう。

 私はもう長いことしんちゃんと仲良しで、2年間はほぼ一緒に住んでいたこともあるので、彼の足のこと、そして彼のことを、この世の中で5本の指に入るくらいに、彼の哀しみが私の哀しみになるくらいには、わかっているつもりです。
 でも、それでももちろん、完全にわかってあげることはできない。私は健康だし、どんなに好き同士の恋人でも、やっぱり違う体で違う人生を送っているから。
 
 しんちゃん。
 小憎らしいことも苛立たしいときもある。若い私たちに5年という時間は長く、その間に他の人によろめいたこともある(お互いにね。)
 でも、しんちゃんのことを考えていて、よく思い出すのは、りんごの話。
 小学生か中学生の頃にマンガで読んだ。
 
 傷のあるりんごほど、甘いんだって。と、登場人物が言う。アメリカのことわざなのかもしれない。
 「どうして?」と問うと、
 「さあね。りんごが努力するんじゃないか?」
 成田美名子の、「サイファ」というマンガ。1980年代のニューヨークが舞台で(だから、りんごなのね。)全12巻。今でも時々読み返す。

 しんちゃんの心根の優しさ、ちょっと珍しいくらいの人間としての心のあたたかさ、その変わらなさは、きっと彼が、傷のあるりんごだからだと思うんだ。19歳になったばかりの頃、付き合う直前から、そう思ってる。今でも変わらない。
 もちろん、私だって傷のないりんごじゃないし、きっと、みんなそうなんけどね。でも、「ああ、この人、あの話の通りだ」って、じんわり思ったのは、しんちゃんが最初で最大。

 実は先週、ちょっとケンカ?してたんだよね。
 ケンカ、というか、たいてい私がボカーン!と申し述べて、しんちゃんは食いついてこないので、ケンカにもならないんだけど(^-^;
 もう、しばらく私からは電話せん!て思ったけど、やっぱり自分からしてしまう。わざと焦らして心配かけちゃお、とか、そういう恋の駆け引きは全然できない。もう、まったく。
 
 今日もやっぱり残業で、会社を出たのは10時半。
 ほとほと疲れて、でもまだ火曜日だから、早く寝なくちゃ。
 だから今日は電話しないけど、今度はいつ会えるかな?
 なんだか早く顔が見たい、夜。
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