moonshine  エミ




2002年09月16日(月)  映画、ビデオ、本の感想。一気にどうぞ。

 雨! 一日中の雨。大雨洪水警報まで。
 なので、ずっと、家にいた。きのう、持久走しといてよかった。

 ずっと書こうと思って書けてなかった、この夏に見たビデオのことなど。

『海は見ていた』
 黒澤明の遺稿を熊井啓が映画化。
 中洲大洋劇場で見ました。チラリと写真。歴史ある映画館です(たぶん、そんな感じ。)
 江戸時代、深川のはずれにあるさびれた町の遊郭が舞台。
 わたしは元々、岡場所モノというのに弱いのだが、それを抜きにしたって素晴らしい映画だった。胸が震えた。
 キップのいい清水美砂、泣いてばっかの遠野凪子、世間知らずの坊ちゃん吉岡秀隆、やたらダメ男の永瀬正敏、こういう役がハマる奥田瑛二、久々に見たつみきみほと河合美智子、石橋蓮司もラッキー池田も、みんなみんないい演技だった! 泣かせてくれる。

 特筆すべきは音楽だ! 
 この映画のテーマとでもいうべき曲、古くさくて頼りなげな音、ほんのりと明るい調べ。
 それが、ものすごく哀しい場面や暗い場面にも容赦なく(笑)用いられて、「あんな場面になんであんな明るい曲を?!」て紛糾する意見をネットでたくさん見たけど、私、あの音楽の使い方がすごく好きだった。
 シリアスな場面であの明るめの旋律が流れると、何ともいえない気分になった。
 かわいそうにねえ、でも生きてくうえで、こんな哀しいことなんて、誰にでもいくらでもあるんだよ。
 そんな、優しいあきらめを感じるような曲だった。哀しい場面で哀しい曲が流れるのに慣れてるだけに、あの妙な明るさが新鮮だった。

 そしてラスト。
 たぶん、あの清水美砂のセリフのために、この映画はつくられたんじゃなかろうか?!と思われるくらいのラストだった。万感胸に迫って、劇場のあちこちから「ほうっ」というため息が洩れた。ちなみに、見に来てるのは若い女の人もいたけど、お年寄りの人も何だか多かったなあ。
 これはビデオになったら必ずまた見ます。
 
 以下はビデオ。さらりと。

『梟の城』
 司馬遼太郎原作、中井貴一主演。戦国時代の忍者モノ。
 これがねー、私には期待はずれで、残念なことでした。
 貴一っちゃんはともかく、美しい鶴田真由、凛々しい上川隆也のキャラクターがしっかりしてなかったのが一番ダメだった。葉月里緒菜はグー。
 アクションといいストーリーといい、絞りきれてなかった。
 でも、まあ、前から見たかったので、とりあえず、見たことに満足。

『サイダーハウス・ルール』
 2回目。1回目見たときの感想はコチラ
 最初に見たときよりも、主人公のホーマーが人間くさく感じられて、それがまた良かった。ホーマーは純粋だけど、天使みたく描きたかったわけじゃないよね、監督は。きっと。

『バッファロー’66』
 監督・脚本・主演・音楽、ヴィンセント・ギャロ。
 なんかよく知らんかったけど、カリスマ的人気がある人で、この映画もミニシアターで大ヒットしたんだって。
 で、私の感想。
 奇妙です。さすがミニシアター!て感じで奇妙です。
 多分ものすごく監督の趣味に走った作品で、マニア向け、カルトっぽいんだけど、なんだか訴えられてくるものがあるような感じもするような・・・。 
 見てる間は、早送りしたくなるような衝動に駆られたりもしたのに、見終わった後でなんだかいろいろ考えちゃって、ズンとくる映画でした。
 バカバカしい人生、愚かな生き方、そんな男なのに、ラスト間近、トイレかなんかの鏡に向かって一人、「生きられない」と泣くシーンが頭に残りすぎた。うーん、何だったんだろう!? とにかく、あまりにもわけわかんなくて、それが面白い映画だった。
 予定調和ばっかりに慣らされちゃいけないなーと感じたよ。

 
 なんかあと一本見た気がするんだけど、思い出せない。
 しかも結構おもしろかったような・・・。
 私の記憶って、しょせんこんなもんなのね。
 
 連休中に読んだ本。
  高村薫『李歐』 
 李歐のあまりのかっこよさにクラクラしながら、4時間で読了。
 拳銃マニアの主人公、中国はじめ大陸の裏組織との駆け引きとか、ハードな展開ではあるんだけど、男の心をもわしづかみに掴むセクシーな李歐、男同士の愛情(ただし肉体関係は多分ナシ)、甘々大団円のラストなど、これって男の人はどんな気持ちで読むんだろ?と思ったり。
 でも、李歐、かっこいかった〜〜〜〜! 「惚れたって言えよ」言うよ!言いますとも!! 浸った。

 保坂和志『草の上の朝食』
 村上龍や柳美里に比べるとずっと地味だけど、芥川賞作家。好きです。『プレーンソング』の続編。続編だかなんだか、どこが区切りなのかさえ、どうでもいいんじゃないかと思えるほどにユル〜い物語。好きだなあ。
 今作では、前作に無かった主人公のセックスシーン(シーンと言うほどでもないけど)があったけど、予想通りのさらっとした書き方だった。いい感じ。

 山本周五郎『つゆのひぬま』
 『海は見ていた』の原作を含む短編集。私は映画→原作、って順番をたどるのが好きだったりする。逆だとがっかりすることのほうが多い(^-^;
 山本周五郎の短編を映画にしたのって多いよね。すごい作家です。シンプルなのに、味わい豊か。

 さあ、では今から、『濱マイク』の最終回。
 あたりはずれはあったけど、楽しませてもらった3ヶ月だった。さみしいなあ、終わっちゃうの。
  
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