moonshine  エミ




2002年02月17日(日)  「過ぐる川、烟る橋」 鷺沢萠に見る欠落感

 おお、今夜の月は赤くて細い。
 
 新潮文庫の新刊『過ぐる川、烟る橋』を読んでから、一気に鷺沢萠にハマったこの週末。

(ちなみに、これは博多の中洲が一つの舞台になっていて、
「過ぐる川」は那珂川、「烟る橋」は中洲にかかる出会い橋、春吉橋、西大橋など、小さな橋々のことです。
 いやー、博多が舞台の小説って少ないからね。情景が浮かんで、それがまたせつなくてよかった。博多っ子、特に中洲っ子は、ぜひ一読のこと。)
 
 本棚から、鷺沢萠の『途方もない放課後』『君はこの国を好きか』を取り出して読み返し、新たに『海の鳥・空の魚』を購入。
 この人の何が好きって、目線だね。順調に行かない人生を送る人々に対する、目線。
 そこに筆者自身が投影されてると思うんだけど、それを十代の頃から既に持っていて、抑えた筆致で表現する力には驚くしかない。
 
 欠落感の自覚。
 自覚しようとしてするんじゃなくて、生きていくうえで、どうしようもなく、感じてしまう欠落感よ。
 でも、そういうことは胸にしまって、かっこよく現実を生きる人間に、私はなりたい。
 いや、かっこよくなくてもいいんだけど。現実を行きたい。
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