moonshine  エミ




2001年09月19日(水)  「救命病棟24時」最終回。

 2時間スペシャルだったが、最後まで緊張感が続いた。
 渡辺いっけい演じる医局長の死というのはかなり唐突だったものの、ほかは「このドラマなら、こう来るだろうな」という展開と終り方だった。悪い意味ではなくむしろ逆で、たとえば、
「進藤と香坂がくっつく。」
「神宮教授、突然改心しきっていい奴になる」
「香坂、ギリギリでシカゴ行きとりやめ。」
 なんていう、さむーいところが全くなくてほんとによかった。
 江口が松雪に
「たまには外で会おう。今夜あけとけ」
 と言った瞬間には「キャ――☆」と思わず私のテンションも上がりかけ、
「ああ、唐突な展開でも何でもいい。いけ――、江口!」
 なんて思ってしまったものの、その直後のCMの間に落ち着き、
「いや、このドラマに限って、あるわけない。シカゴの教授とセッティングだな・・・」
 と半分安心、半分落胆。
 結果的には、そのとおりでよかったんだけど。
 
 進藤という役は、救命の指示に関して以外、つまり自分の感情をあらわすセリフは、全編通してほっとんどなかった。表情も全然豊かじゃないし。「ひとつ屋根の下」のときの、5分の一くらいだっただろう。セリフの数は。
 それでいて、あの存在感。もちろん「神の手」をもつ天才医師、という設定はあるが、あれだけ抑制された演技でビンビンかっこよさを出すとこは、さすが、江口。
 共演陣も、みんな良かったしねえ。
 宮迫、好演。ああいうキャラの俳優(本業)って、誰かいるだろうか。けっこう稀有じゃ?  
 全体的に、過剰な演技をする役者がいなかったので、素直に泣けた気がする。前作では、松嶋菜々子がけっこう「いかにも」って感じがしたからなあ。
 
 脚本の福田靖という人は、「HERO」も書いたらしい。それってすごい宣伝になりそうなのに、それにしては、放送中、全くその噂を聞かなかった。そんなフジの姿勢も、意外な好印象。
 にしても、いいホン書きますねえ。「HERO」も群像劇だったが、あのときも、今回も、登場人物全員に感情移入できた。
 展開も、甘く安易な方向にまったく逃げない。基本はエンターテイメントの精神でやってると思うので、必ずしもリアリズム一辺倒な視点に徹してはいないのだが、嘘くさく思わせない力がある。(←なんてエラソーな書き方だ、私。) 
 周りの医師たちの俗っぽさが、進藤のあまりにも苛烈な生き方を、際立たせると同時に現実感を与える。女性登場人物の強さやかわいさは、爽やか。そして、その全員が誇りを失わないことで、視聴者はカタルシスを得る。
 最終回の、「プロ意識とヒューマニズムおよび精神の気高さは、資本主義・利益第一主義すらを巻き込み、共存しうるし、最終的には凌駕する」ていうテーマ(だったのか? いや、違うか・・・)も、私は好きだった。
 今後の仕事におおいに期待だ。福田靖。いったいどんな人なんだろう。
 
 さて。
 
 ドラマが終わり、しんちゃんと電話で話す。
私「今日の患者の多さ、映画並の絵だったねえ。 
  このドラマ、これまでにヘリコプターも飛ばしたし、
  工事現場も爆発したし。
  『港北医大救命救急センター』なんかより、このドラマのほうが、
  よっぽど採算とれてないんじゃ?」

しん「まあ、スポンサーに、トヨタついてたからね。」
  
 そうか・・・トヨタ。さすがだ。

 もう一つ。
 最終回でちろりと出た、第1外科のドクター(イヤな役。)は、「恋がしたい×3」で、若い女と浮気してた、岡江久美子演じる主婦のダンナだった。 
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