moonshine  エミ




2001年08月24日(金)  千と千尋の神隠し

 約束の時間、ほぼぴったりに博多駅に着く。
 しんちゃん、見当たらない。
 ふと胸騒ぎがして、携帯電話にではなく、おうちの電話にかけてみる。
「もひもひィ」
 しんちゃん、出る。
 ・・・いる。信じられない。寝起きだ。

 まあ気をとりなおして、紀伊国屋へ行く。
 1時間もすれば来るだろう。紀伊国屋なら、1時間なんて、あっという間。
 私が最近探している本は、ここにもなかった。
 絶版か? そんなはずはないのに。
 読みたい本が次々に目に付く。
  北村薫「六の宮の姫君」
  真保裕一「黄金の島」
 (作者がわかんないけど)「兵士に聞け」
  銀色夏生「夕方らせん」
  立原正秋「舞いの家」
  高村光太郎「智恵子抄」など。。

 種田山頭火の本、たくさんあった。
 昭和天皇のは、あんまりいいのがなさそうだった。

 そして、遂に買いました!
「坂口安吾全集9」
 『信長』が入っているやつ。
 嬉しい。本当に嬉しい。卒論やってる頃から買いたかった。

 やってきたしんちゃんと、博多駅からキャナルシティまで歩く。
 途中の喫茶店に、さとちゃんを発見。ここでの勤務姿は初めて見る。何だかすごく、笑いがこみあげてくる。

 「牧のうどん」で昼ご飯。
 ごぼう天が変わっていた。軽くショックを受ける。

 今日のメインイベントは映画。
『千と千尋の神隠し』
 平日だというのにほぼ満席だった。(あ、ちなみに今日は私、代休。)
 学生証を悪用して、1500円でチケット購入。これで私も軽犯罪者だ。
 
 映画は素直に楽しめた。私はもともと宮崎駿の崇拝者だ。
 絵がきれい。音がリアル。千尋、かわいい。お姉さん(リン?)もいい人。ハク、かわいい。音楽、なぜこうも涙腺にくるの。
 ところどころで、泣きそうになった。
 かなり泣いている人が館内にいた。気持ちはわかるが、そういうのって少し冷める。
 いい大人がさあ。と思ってしまうのです。声を上げて号泣する人は、家でビデオ見ろ。と、心の中で暴言を吐いてみる。いい映画を観たのに、ちっとも心の洗われていない私だ。
 
 大名の居酒屋で夜ご飯。
 隣のテーブルが、学生時代の友達っぽい、30代前半チックな女性6人で、それがうるさかったことを覗けば、とてもいい店だった。センスのいい、品のいいところだった。BGMは、なぜか延々とサザン。いつもなんかいな。
 映画の感想や謎など、じっくりと話す。
「ユバーバとゼニーバ、二人で一人前ってどういうこと?」
「最初エレベーターで一緒になった神様は? なぜ親切にしてくれた?」
「ハク(=ニギハヤミ コハクヌシ。)はなぜ、魔法使いに弟子入りしようと思ったのか?」
「油屋で働くところは、もう少し長かったほうが説得力があったんじゃない?」
「不思議な町の描写、すごかった。」
「カマジイの働きぶり、見てておもしろすぎる。」
「カオナシは油屋を出たら、なぜおとなしくなる?」
「きっと、こういう謎にも一つ一つ、宮崎さんの心の中では設定があって世界観がバッチリあるんやね。」
「細かいところは一回見ただけじゃあわからないけど、それでも面白いっていうのが凄いね」
「テーマとエンターテイメントが両立してるね」

 帰り、警固公園で座り、ほろ酔いで浮かれて、チューしてみる。
 こういうことにまだ気負いがいらなくて、「バカだよねえ」と笑ってすませることができるくらいには、私たちはまだ若い。
 夜は涼しい。夏が行こうとしている。  
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