翔くんのときどき日記

2005年10月23日(日) 新作執筆ちゅ!

って、訳でゆっくり書いてる私です。

でもこのペースで書いてたら今月中に新連載の公約に間に合うのかなぁ。むぅ。


がんばらなくっちゃ。


なかなか今ひとつ筆が乗りません。
主人公の性格が二転三転してみたり。


どうも思ったように書ききれていないんですよねぇ。

うーん。


まぁ、それでもある程度まとまってきたところで、いつも通り冒頭だけ公開してみようと思います。

もしかしたら主人公の名前とか性格とか、実際にアップするときには変わってるかもしれませんが。

気が向いたら読んでみてください。



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題名未定


 少年は銃を突きつけていた。
 黒い外套に身を包んだ彼は、にこやかに微笑む。すらりとした腕は、一見細身のようだが、よく見ると無駄なく締まっていた。
 歳の頃は高校生か、場合によってはそれよりも少し若いくらいだろうか。優しげな風貌が、彼の手にした鉄の塊を余計に異質に感じさせる。
 だがその先にあるモノは、恐怖に震えている訳でも無かった。
 確かにたじろいではいる。しかしまだ意志を失ってはいない。今にも牙を剥こうと、爛々と目を輝かせていた。
 知らない人が見れば、それはこう見えただろう。
 透き通るような白い肌の少女。
 少年が銃を突きつけていたのは、確かに女の子だった。もっとも少年よりかは年上であろうが、それにしてもまだ幼さを残しているには違いない。
 少女は袋小路に追いつめられていた。夜の住宅地だけに、辺りには他に人の姿はない。
 少女は少しあとすざって、その後がすぐ壁である事に気がつくと、口元を僅かに歪ませる。
「見逃してくんないかな」
 少女は軽い口調で告げると、両手を広げてみせる。
「残念だけど、そういう訳にはいかないんだよね。こっちも仕事なんでね」
 少年も軽く答えた。だが右手に構えた銃だけは、決して彼女から逸らそうとはしない。
「そう。本当に残念ね」
 少女は呟くと同時に、少年へと駆け出していた。
 少年は引き金を持つ指先に力を入れる。
 つんざくような音と共に、銃弾が放たれた。
 だが確かに捕らえていたはずの銃口の先には、もう何もいない。
 少女は人とは思えない速度で銃弾を避けていた。少年がもう一度、少女へと銃口を向ける。
 だが少女は大きく空へ飛び上がっていた。
 まるで羽が生えているかのように、上空高く。空に舞う少女は、人によっては天使のようにも感じられたかもしれない。
 だが知るものが見れば、全く異なる姿に見えただろう。
 感じられる者は、彼女らをこう呼ぶ。
 血に魅入られし者(ラミアチャーマ)。あるいは単純に吸血鬼と。
 彼女が笑みを浮かべると、口元に微かに二つの牙を覗かせていた。
 少年はすぐさま彼女へと銃口を向け、銃弾を放つ。
 銃弾は彼女の肩を掠めるようにすれ違うが、少女は構わず少年へと向かう。
 少女は上空から一気に飛びかかる。
 だが少年も尋常ではない速度で身を翻すと、そのまま後へと飛び退いていた。
 少年がいた場所を、人の物とは思えないほど長く伸びた爪が通り過ぎる。
「おっと、あぶないあぶない。ま、女の子に抱きつかれるのは嬉しいっちゃ嬉しいんだけどさ、俺は爪伸ばした女は趣味じゃないんでね。って、訳で遠慮しておくよ」
 少年は軽い口調で告げると、銃のシリンダーに手をかける。
 銃弾を新しく幾つか積めると、思い切りシリンダーを回転させる。
 からからと音を立てた後、ゆっくりと少女へと銃口を向けていた。
 少女が人間離れした動きを見せた事にも、少年は全く動じていない。それどころか彼自身の身のこなしも、普通の人とは一線を画していた。
 少女はやや眉を寄せて、少年を睨み付ける。
 二人の間に冷たい空気が漂っていた。
 少女は何も答えない。伸ばした爪を前にして、少年を警戒するように身構えている。
 だが二人が動き出す前に、その声は発せられた。
「奏(かなで)。この馬鹿者がっ。何を遊んでいる。銀甲弾とて只ではないのだぞ。無駄使いするでないっ」
 少年は思わず声の方へと振り返る。
 ブロック壁の上に、真っ白な猫が佇んでいた。
 他に人影はない。だが確かに声はそこから聞こえてきていた。
 翠の目が爛々と輝いている。
 普通の人間が聞いたのであれば、驚きのあまり呆然としたかもしれない。
 しかし奏と呼ばれた少年は、それが当然であるかのように猫へと笑いかける。
「お、白月か。ま、そういうなって。いま、ちゃんと仕留めるっつうの」
 奏は白月と呼んだ猫へと、へらへらと笑いかける。
 少女はその隙を見逃しはしなかった。
 突然奏へと向けて飛びかかる。
 奏の反応速度は尋常ではなかった。恐らく普通の人間であれば、少女の爪で心臓を貫かれていただろう。
 奏はすんでのところで身を捻り、その爪を避ける。
 しかし少女の狙いは爪を突き立てる事ではなかった。
 少女は爪を指の中にしまうと、そのまま奏を抱きしめるように腕を回した。
 奏の首筋に少女の牙が突き立てられていた。
 奏の身体から力が急激に抜ける。
 少女はそれを確認すると、すぐに奏から飛び退いていた。
 奏はそれを追いかけるように手を振るうが、少女には届かない。
「ふふ。油断したわね。いま私は貴方の血の代わりに、吸血鬼(ラミア)ウィルスを埋め込んだ。これで貴方は、もう私の下僕。貴方が凄腕の吸血鬼探索者だとしても、これには逆らえないわ」
 少女が勝ち誇ったように告げる。
「う……うう……」
 奏は小さく嗚咽を漏らすと、身体をよろけさせて、手で顔を隠す。
 その様子を見て白月と呼ばれた猫が、慌てたように声を漏らした。
「奏。この馬鹿ものがっ。しっかりせぬか」
「無駄よ。無駄。ラミアウィルスから逃れられるものなんていないもの。さぁ、ほら。下僕よ、目覚めなさい。そして私にひざまずくのよ」
 少女はにこやかな笑顔で呟くと、奏に向けて手を差し出す。
 その指図に従うようにして、奏は少女の前にひざまつく。
「奏っ!」
 白月が叫ぶ。
 だが奏は何も答えずに、手を伸ばした。
 拳銃を握りしめたまま。
 銃声が激しく響く。
「あぐ……ど……どうして……」
 少女は胸から血を流しながら、よたよたと足をよろめかせる。
 奏は硝煙を上げる拳銃を手にしたまま、口元に笑みを浮かべていた。
「悪いけど、俺には吸血鬼ウィルスは通用しないんだよね」
「馬鹿な……そんなはず」
 少女は呟きながら、その場にしゃがみ込む。
 いかに彼女が不死身に近い血に魅入られし者(ラミアチャーマ)だといっても、奏の持つ銃「吸血鬼喰らい(ラミアイータ)」の一撃を受ければ平然としてはいられない。
「そうだなぁ。普通なら、いくら俺が探索者(シーカ)だといっても、無事ではいられないだろうね。でも俺は普通じゃないんでね」
 奏はひらひらと手を振って、それからゆっくりと笑みを浮かべ口元を覗かせる。
 その口元から二本の牙が姿を現していた。
「そ……その牙は……お前……まさか」
 少女が驚きの声を上げる。
「そう。俺はもうすでに吸血鬼だからな。これ以上、吸血鬼になりようがないのさ」
 奏の声はいたずらに響く。
「馬鹿な……なら、お前も私達の眷属だろう。どうして人間に組みする……どうして」
 少女が責めるような口調で告げた。
 その瞬間、再び銃声が鳴り響いた。
 少女の頭を確実に捕らえ、額から血を吹き出していく。
「決まってるだろ。そっちの方が面白いからさ」
 奏は再び不敵な笑みを浮かべて、拳銃を懐にしまう。
 まるでそれを引き金にしたように、形取っていた少女の身体が塵と化して、風の中へ消えていく。
 奏ではその様子をじっと見つめていた。
 どこか冷たい笑みを浮かべたままで。

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と、こんな感じですが、どうでしょう?

実際の執筆はこの雰囲気を元にいろいろと構成してからになりますが、何とかがんばりたいものです。


ではではー


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香澄 翔 [MAIL] [HOMEPAGE]


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