2005年07月21日(木) |
ペンギンきたりて空を飛ぶ |
ども、翔です。
なんか非常にものすごーくくだらない話を思いついたので、ちょっと書いてみました。
コメディ、かな。たぶん。
と、言うわけで。
タイトルは「ペンギンきたりて空を飛ぶ(仮)」です。
-------------------------------------------------------
突然、空からペンギンが降ってきた。 「ぺ、ペンギン!?」 僕は慌てて声を漏らすと、ペンギンの襲来を何とか避ける。 しかしペンギンは止まらずに、ものすごい勢いで地面に衝突すると、そのまま激しい音を立てながら道路を回転していく。 しばらくはぴくりとも動かない。 あれだけの勢いでぶつかったのだから、死んだかもしれない。 ああ。きっとそうだ。可哀想に。 「南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏。成仏しなよ」 とりあえず念仏を唱えてみることにする。 何だか知らないが、無理をしたものだ。 しかし念仏が利かなかったのか、ペンギンはおもむろに立ち上がり、そして起用に羽根で体を払ったあと、睨むように僕の方を見つめてくる。 そして事もあろうか、ペンギンはまくし立てるように話し始めていた。 「愚か者! 誰が死んだんだっ。誰が! ええいっ、縁起でもないわっ」 「ぺ、ペンギンが喋った!?」 僕は思わず声を漏らした。 それはそうだろう。なんたって、ペンギンだよ。ペンギン。ペンギンが喋ったんだ。それは驚くだろう。つか、このペンギン何者。 「ふん。馬鹿め。この私を誰だと思うてか。ペンギンはペンギンでも、ただのペンギンではない。ペンギンの中でももっとも高貴なる存在。ペンギンの長たるもの。皇帝ペンギンなるぞっ。王様ペンギンや、イワトビ。ましてやケープペンギンのような下賤の者と一緒にするな。皇帝ともなれば、人間の言葉を操るなどたやすい事なのだ!」 皇帝ペンギンを名乗るペンギンは、偉そうに胸を張ったポーズで告げる。 「いや皇帝だか何だか知らないけど、ペンギンはしゃべんないよ、普通」 僕は溜息をついて、それからペンギンへと近づくと、襟根っこを掴んで拾い上げる。 「わ、何をする」 「しっかし良くできてるよね。これ。スイッチはどこかな。電池はどこ。操縦は無線みたいだね」 「わははははっ。やめ、やめいっ。くすぐったいであろうがっ。ええいっ、いいかげんにせんか!」 ぺしっ。 ペンギンの足がおもむろに僕の顔を蹴り飛ばしていた。 その反動で僕の手から逃れると、まるで猫のように回転して華麗に着地してみせる。 「この無礼者めが。さきも言ったが、我は皇帝なるぞ。皇帝。種族が違うとはいえ、敬って当然であろうが」 ペンギンは体をぶるぶると振るわせて、それからぺたぺたと足音を立てて、僕の目の前まで歩いてくる。 その姿は、どこからどうみてもペンギンでしかない。確かにリモコン操作のロボットにしては精巧すぎるし、それほど精巧なラジコンだとすれば、さっきの衝撃でもどこも壊れなかったというのはあまりにも不自然だ。 「え、まさか本物!? いや、そんなはずは」 「ふん。愚か者め。お主は、ペンギンも見た事がないのか。嘆かわしいものだ」 「いやペンギンは見た事あるけどさ。普通、ペンギンはしゃべんないだろ」 僕は頬をかきながら、もういちどペンギンをまじまじと見つめてみる。 何度見返しても、どこからどうみても、ペンギン以外の何者でもない。僕は夢でも見ているのだろうか。 「ふん。皇帝ペンギンに不可能などない。それよりもだ、お主。この辺りで、おかしな奴をみなかったか?」 「いや、君が一番おかしいけど」 僕は目の前のペンギンを指さして、それから少し眉を寄せた。何で僕はペンギンとまともに会話しているのだろう。 「無礼者! この皇帝に向かっておかしいなどと言ってのけるとはっ。ここのが大ペンギン帝国なら、不敬罪で絶壁突き落としの刑でも生ぬるいくらいだ」 ペンギンは本気で怒ったのか、くちばしをぱくぱくと動かしながら、羽根を上下に振るう。 でも所詮ペンギンはペンギン。あんまり迫力はない。 「まぁ、よい。奴がここにいないなら、お主にはもう用はない。どこへでも行くが……」 ぐぅ。そっぽを向いて言い放とうとすると同時に、ペンギンのお腹が思い切り音を立てていた。 「そ……そうであった。腹が……減った」 ペンギンは急に体をゆらすと、千鳥足で左右にたたらを踏んで、そのまま崩れるように地面に倒れ込む。 「こんどこそ死んだ?」 僕の問いに、ペンギンからの答えは無かった。どうやら完全に気を失ったらしい。
-------------------------------------------------------
どうですか? えーっと。
うん。実はギャグかもしれません。
ではではー
|