いろいろ悩み事はありますが、私は天なれが気に入ってるのでしょうね。
やっぱり自分で好きになれない作品っていうのは、他の人がみてもダメな訳ですよ。
正直、現時点での小説としての完成度でいえば、紅色の方が上だと思います。 まぁ、あの作品はあの作品で足りない部分もいろいろありますが。
でも天なれは、キャラクターも今ひとつ弱いし。すごく印象に残るキャラという訳ではないです。 唯一得意とする構成もいまひとつ失敗してるし。リック――喋る人形というガジェットは、面白いけどもその願いについて触れるシーンが少なく、いまひとつ曖昧なまま終わってしまった。
祐人と咲苗との関係も語り切れていないし。 名前の無い少女と祐人との関係も、いまひとつすっきりしない。
……あげてみると欠点だらけだな、天なれ(笑)
でも、それでも天なれに対する思い入れが、いま紅色よりも強いのは。 不出来な子ほど可愛い……という訳ではなくて。
他のどの作品よりも、僕が書きたいものを書ききれたからなんだと思います。
人の心。想い。 いつもいっていますが、僕はそれを書いていきたい。
紅色は、直樹と由紀の二人の想いだけでストーリーが進みます。 まぁ、そこに深雪の想いが入ったりはする訳ですが、基本的には二人の心をクローズアップしています。
加奈の秘めた想いのような隠したエッセンスもある訳ですが、まぁ、本編だけでは補足できない部分ですしね。
一方、天なれはメインのキャラのそれぞれの心に触れています。 複雑に絡み合っていっています。もちろん中途半端な部分もありますが、しかしそれでも心は書けたと想っています。
アスペタのような滅び行く世界での心ではなく。 降り月のようなある意味で倒錯した想いではなく。
ただ僕が描きたかった日常の中の、だけど大切な想い。 それを描く事が出来たと思うから。
僕にとって大切な作品なのです。
冷静に考えれば、たぶんこの作品が、賞をとるのは難しいでしょう。 それでももしもこの描いた想いが、どこかに届いたら。
その為に、少しでも出来る事をしたい。 だから、悩み続けるのだと思います。
「天使になんてなれない」。この作品、やっぱり僕は好きです。
・・・たまには真面目な話をかいてみました(笑)
|