翔くんのときどき日記

2002年03月11日(月) こうして思うと

いろいろ悩み事はありますが、私は天なれが気に入ってるのでしょうね。

やっぱり自分で好きになれない作品っていうのは、他の人がみてもダメな訳ですよ。

正直、現時点での小説としての完成度でいえば、紅色の方が上だと思います。
まぁ、あの作品はあの作品で足りない部分もいろいろありますが。

でも天なれは、キャラクターも今ひとつ弱いし。すごく印象に残るキャラという訳ではないです。
唯一得意とする構成もいまひとつ失敗してるし。リック――喋る人形というガジェットは、面白いけどもその願いについて触れるシーンが少なく、いまひとつ曖昧なまま終わってしまった。

祐人と咲苗との関係も語り切れていないし。
名前の無い少女と祐人との関係も、いまひとつすっきりしない。

……あげてみると欠点だらけだな、天なれ(笑)

でも、それでも天なれに対する思い入れが、いま紅色よりも強いのは。
不出来な子ほど可愛い……という訳ではなくて。

他のどの作品よりも、僕が書きたいものを書ききれたからなんだと思います。

人の心。想い。
いつもいっていますが、僕はそれを書いていきたい。

紅色は、直樹と由紀の二人の想いだけでストーリーが進みます。
まぁ、そこに深雪の想いが入ったりはする訳ですが、基本的には二人の心をクローズアップしています。

加奈の秘めた想いのような隠したエッセンスもある訳ですが、まぁ、本編だけでは補足できない部分ですしね。

一方、天なれはメインのキャラのそれぞれの心に触れています。
複雑に絡み合っていっています。もちろん中途半端な部分もありますが、しかしそれでも心は書けたと想っています。

アスペタのような滅び行く世界での心ではなく。
降り月のようなある意味で倒錯した想いではなく。

ただ僕が描きたかった日常の中の、だけど大切な想い。
それを描く事が出来たと思うから。

僕にとって大切な作品なのです。

冷静に考えれば、たぶんこの作品が、賞をとるのは難しいでしょう。
それでももしもこの描いた想いが、どこかに届いたら。

その為に、少しでも出来る事をしたい。
だから、悩み続けるのだと思います。

「天使になんてなれない」。この作品、やっぱり僕は好きです。

・・・たまには真面目な話をかいてみました(笑)


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香澄 翔 [MAIL] [HOMEPAGE]


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