つたないことば
pastwill


2001年10月12日(金)  手紙

今日はいっしょにサスケの部屋を掃除した。
といってもほとんど物なんかないけど。
ぼくは勝手にタンスをあさってはサスケのちっちゃい頃の服とか
引っ張り出して怒られた。

そんな中から出てきた古びた一つの封筒。

悪いとは思ったけど、とりあえず中を見る。
中には同じく古びた便せん。
上の方がちょっと破けていて、何も書いてなかった。
ただ一ヶ所、黒く塗りつぶされたところを除けば。
宛名が書いてあったんだろう。

「ねえサスケ」

「なんだよ」

「これ、誰宛て?」

「・・・忘れた」

きみは勝手に手紙を見たぼくを怒らなかった。
でも忘れたっていうのはウソだね。
この手紙を誰のために書こうとしたのか。
きっときみはずっと覚えてた。

宛先も知らないあの人へ、きみはどんな気持ちでこれを書こうと
思ったのかな。

ぼくは聞くこともできず、ただ黙っていた。
きみもそれっきり話さなくなり、黙々と掃除をしている。


ごめんね。


忘れたフリしてれば開かない傷もあったのにね。




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