つたないことば past|will
今日はいっしょにサスケの部屋を掃除した。 といってもほとんど物なんかないけど。 ぼくは勝手にタンスをあさってはサスケのちっちゃい頃の服とか 引っ張り出して怒られた。 そんな中から出てきた古びた一つの封筒。 悪いとは思ったけど、とりあえず中を見る。 中には同じく古びた便せん。 上の方がちょっと破けていて、何も書いてなかった。 ただ一ヶ所、黒く塗りつぶされたところを除けば。 宛名が書いてあったんだろう。 「ねえサスケ」 「なんだよ」 「これ、誰宛て?」 「・・・忘れた」 きみは勝手に手紙を見たぼくを怒らなかった。 でも忘れたっていうのはウソだね。 この手紙を誰のために書こうとしたのか。 きっときみはずっと覚えてた。 宛先も知らないあの人へ、きみはどんな気持ちでこれを書こうと 思ったのかな。 ぼくは聞くこともできず、ただ黙っていた。 きみもそれっきり話さなくなり、黙々と掃除をしている。 ごめんね。 忘れたフリしてれば開かない傷もあったのにね。
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