つたないことば past|will
朝起きてなんかだるいなあと思ったら、案の定となりで きみが眠っていた。 ああまたきみを抱いちゃったんだなあ、失敗したなあと 小声でぼやく。 となりで死んだように眠るきみをただ無表情に見つめる。 やさしく抱きしめたり頭なでたりなんてしない。 だってそれは愛する人に対してすることだ。 ぼくはきみのこと嫌いだし、ましてや愛してなんかいない。 いつもこのべッドの上でする行為も抱くというより犯すに 近い行為だ。それなのにきみはろくに抵抗しないで、ぼくに 好き勝手させて犯されていく。 おかしいなあ、みじめだなあ。 きみはぼくに愛されてるとでも思ってるのかなあ。 ぼくのその行動は突発的に起きるいわゆる気まぐれってやつ なのに。かわいそうな子。 でもぼくはきみを抱いた後いつも後悔する。 ああまたきみを抱いちゃったんだなあ、失敗したなあと。 なんでだろうね。わかんないなあ。 ぼくはきみの小さい体を抱いて何を満たそうとするだろう。 欲求満たすなら相手の女なんていっぱいいるのにね。 なんできみなのかな。へんなの。 ぼくはこれからもこうやって失敗したなあ、おかしいなあって いいながらきみを抱くのだろう。 嫌いなのにね。 愛してないのにね。 それでも抱くんだろうな。 きみが消えるまで。
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