いつもの道が違う通りに見える事がある。 平日なのに静か過ぎる。 通りを越えたら、この時間なのに人が多すぎる。 まるで申し合わせたように外の世界に人々が 飛び出して来たようで。 不自然な日常は少し情緒不安定な心に 影を落とす。 まるで知らない世界を歩いてるよう。 まとわりつく空気も生ぬるく。 これが物語なら事件が起こる予兆。 でも、私の世界ではこれが現実。 夢が覚めるように現実に引き戻される時。 当たり前の世界が私を招く時。 一人は怖いとふと、思う。 静寂は怖いなとふと、思う。 それでも歩く足を持っている私は、 その先へと歩き出す。 己の魂のまま、人生をまっとうするのは とても困難だ。それでも失う事無く 手をのばし続けようと思う。 苦労も困難も努力も当然のものなのだから。 いつか当たり前が当たり前じゃなくなるまで。 その帳を自らが引けるようになる、その日まで。
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