最近ずいぶん暖かくなって来ました。 ようやくちょっと遅い春をこの国は迎え、 国花の桜もそれは美しくあでやかに花開き始めました。 満開の木の下は香り際立ち、見上げる空はピンク色。 春は穏やかに穏やかに過ぎて行くもの。 出来るなら遠い空のあの人達にも穏やかに過ぎて欲しい。 毎日報道されるそれにいつしか慣れて行く。 かの地の痛みはいっそ増すばかりなのに。 今日もまた義勇軍兵士が4千人…市民犠牲者が50人。 それは物の数ではなくて人の命の数。 桜の花びらが風に飛ばされ大地に落ちるように。 その姿はなお可愛らしく人々を喜ばすけど。 肉体は土へ、ならば無理に引き裂かれた魂はどこへ 還る事が出来るのだろう? 誰だって命は尽きる。どんな理由であれいつかはこの世を去る。 それでも命は繋がっている。この世の果てがもしあるなら、 きっとその日その時まで命は繋がってるんだ。 それは神秘。この世に神秘を紡いで生き物は呼吸を繰り返す。 それを奪っては生きて行けない。奪い続けて生きては行けないはず。 数を数える事に何の意味もない。ただ一日も早く笑顔が戻るように。 楽しみ喜びを奪い変わりに悲しみ痛みを与えるような事が、 一日でも早く終わるように。そうして世界中に桜が咲くように。 満開の桜でピンク色の春が早く訪れるように。 そんな祈りも知らずに、今年も桜は誇らしげに咲いている。
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