私どもの仕事で行います「作業」には幾通りかありまして、「身体も道具も使わないが頭を使うもの」、「頭は使わないが身体を使うもの」、「頭は使わないが道具を使うもの」、「頭も道具も身体も使うもの」など、いろいろです。
もの書きの仕事では「身体も道具も使わないが頭を使って」いたり、「道具と頭を使って」いたりすることが多く、またそういう作業をこそたくさんこなさねばならぬのですが、ときと場合と体調などによってはそういった作業が捗らず、「頭は使わないが道具を使う」作業がやけに捗ってしまう日なんてのも儘あるものでございます。
本日の私はそんな状態です。私は忘れっぽいこともあって、物語を書く上で思いついたことはとにかくメモ書きにします。必要かそうでないかはそれから考えます。とにかく書くのです。すると大量のメモができます。
書いたメモはコンテや原稿用紙を入れてあるクリアケースに放り込むのですが、クリアケースの中がメモ用紙の花吹雪でえらいことになってきましたので、メモ用紙はメモ用紙でまとまるように、封筒をつくることにしました。材料はメモ用紙です。
私は毎年「
よつばとひめくり」というカレンダーを利用しているのですが、このカレンダーは暦をめくるとその裏には罫線が引いてくれてあって、メモ用紙にするには最適であります。表で愉しみ、裏を活用。二度おいしいカレンダーであります。
カレンダーとしての役目を終えたものを束ねてメモとしているのですが、そこから二枚、封筒の材料として取り出します。
左が表、右が裏です。左は三月一二日付のもので「モスの日」と書いてあります。ハンバーガーチェーンのあのモスです。
一九七二年三月一二日がモスの生まれた日なのだそうです。「
よつばと!」という漫画には時折モスバーガーが登場します。
その二枚を、適当な部分に折りくせをつけたり要らない部分を切り取ります。
長さとか幅とか、あんまり測ったりしていません。洩れたら困るものを入れる訳ではないので。
折ったり要らないところを取ったりした二枚を袋状になるように貼り合わせます。口紅糊は便利ですね。手を汚さずに広い範囲に塗ることができます。
気が向いたり或るいはそういうのが上手な人は表の絵柄が外側に出るように組み立てて「モス買ってきたジャンボさん封筒」とかつくってもいいのだと思います。あ、いまちょっと萌えてしまった。
私は、自分が構想しているものが「よつばと!」の影響を受けたりしたらいやーんと思ったので中表にしました。
封筒ができ上がったらばらばらだったメモを入れて分類しておきます。これでメモたちがてんでばらばら好き勝手にクリアケースやファイルの中で泳ぐことはありません。
わざわざ切り貼りしなくても最近では封筒だって吃驚するほど安く売っているのだし、メモ用紙の大きさにあった茶封筒でも買ってくればよかったんじゃね?なんてお思いの向きもあるかと思います。
確かに封筒という用品についてだけ考えればそうなのですが、この「作業」が必要なとき、というのもあるのです。多分今日はそんな日だったのです。
封筒自体はとびきりのものができる訳ではありませんが、この封筒を切り貼りしたり、できた封筒にメモを入れたり分類したりするときに、メモ書きの内容を確認することになります。そこから新しい何かが生まれることだってあるのですよ。ないことも多いけど。