衛澤のどーでもよさげ。
2010年03月03日(水) 昼餉。

さんま、さんま
そが上に青き蜜柑の酸をしたたらせて
さんまを食ふはその男がふる里のならひなり。
     (「秋刀魚の歌」より抜粋/「我が一九二二年」(佐藤春夫)所収)

このように秋刀魚という魚を詩にうたったのは、我が郷土が矜る詩人、佐藤春夫先生である。その土地で昨日、私は一匹三九円という大変有難い安価で秋刀魚を購った。
明けて今日。昼餉のために炊く飯の中に秋刀魚を一匹と少しいい塩を一トつまみ放り込み、そのまま炊き上げる。頭と腹の中身を取っただけの秋刀魚をまるごと炊飯器に入れる。
やがて昼。炊き上がった秋刀魚飯から秋刀魚を取り出し、中骨と尻尾を外して身をほぐし、飯に混ぜ込む。その秋刀魚飯とでき合いの豚汁を昼餉とする。

旨い。
季節外れの解凍秋刀魚とほんの一トつまみの塩を足しただけの飯だが、甚だ旨い。思わず落涙せしめらるるほどの。それを、汁ものと一緒に喫することができるよろこび。これもまたさいわいであり、心に留め忘れてならぬ小さき大事なりと、飯を噛みしめた。


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