衛澤のどーでもよさげ。
2008年12月18日(木) 電脳会話。

もしも自由に使っていい三億円を手に入れたならブックオフとユニクロとダイソーで思うさま買いものをしてみたいと考える、生活資金が増えても生活の質でなく量が向上してしまうタイプの衛澤です。

いきなりですがメッセンジャーって御存知ですか。黒田くんとあいはらくんのコンビではなく、パソコンとソフトウェアとインターネットを介して遠方の人と実時間上で会話できるという仕組みです。
おおまかにはこんな感じで会話をします。

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ぺそ:
まいど。御晩です。

衛澤:
まいど。

ぺそ:
あのさ。

衛澤:
うん?

ぺそ:
駄菓子って旨い?

衛澤:
わしは駄菓子を愛している。

ぺそ:
ほう。

衛澤:
だが愛していることと美味であるかどうかは別のことだ。

ぺそ:
つまり美味ではないと。

衛澤:
迂遠ながら。だって「駄」菓子だから。

ぺそ:
だ?

衛澤:
駄。「つまらない」とか「粗末な」とか、何だかワンランク下っぽいことを表す接頭語。

ぺそ:
駄パンプとか。

衛澤:
差し支えありすぎる発言。ファン激怒。

ぺそ:
駄楽器とか。

衛澤:
音楽に謝れ。主にパーカッションに謝れ。

ぺそ:
駄天使。

衛澤:
それは惜しいけど違う。堕天使は堕ちてんの。

ぺそ:
じゃあ、堕パンプ。

衛澤:
やめれ。要陳謝。

ぺそ:
駄人間。

衛澤:
その場合は駄目人間。だめにんげんだもの。みつを。

ぺそ:
駄菓子。

衛澤:
旨いよ。

ぺそ:
旨いんだ。

衛澤:
チープでキッチュでジャンク。現代日本の子供がおそらくはじめて体感する合法的な社会的ノイズ。

ぺそ:
へー。

衛澤:
同じ駄菓子を一度に沢山買ったりしちゃ駄目。大人だからって大人買い禁止。子供の大人買いは更に厳重に禁止。

ぺそ:
何で?

衛澤:
駄菓子はちょっとずつ食べるようにできている。ちょっとずつ、沢山の種類を。懐石料理と同じ。

ぺそ:
京料理?

衛澤:
むしろ逆京料理。京料理は上品な薄味で上品な器に上品に盛られているが、駄菓子は濃くてしつこいお味で袋を乱暴に破ってがりがりと貪り食うもの。

ぺそ:
ふんふん。

衛澤:
袋を開けて袋ごと口に持っていってざらざらーって流し込むように喰ってざくざくと咀嚼してんがぐぐと嚥下して、早速全部なくなっちゃって、あー少しずつ食べればよかったーって。その後悔まで含めて駄菓子。

ぺそ:
旨いの?

衛澤:
旨いんじゃないかな。

ぺそ:
何で推量?

衛澤:
形容詞で表現される事象というのは、常に何らかの基準と比較されて後に表されるものであって、その基準は全人類共通では決してない。故にわしが旨いと思うものがわし以外の者にとって旨いかどうかはシュレディンガーの猫なのよ。

ぺそ:
ふーん。

衛澤:
うん。

ぺそ:
で、旨いの?

衛澤:
何が。

ぺそ:
キャベツ太郎。

衛澤:
旨いよ。駄菓子のベストセラー。

ぺそ:
キャベツ太郎ともろこし太郎はどっちが兄?

衛澤:
えっ、兄弟なの?

ぺそ:
兄弟じゃないの?

衛澤:
だって、どっちも太郎だよ? どっちも長男だよ?

ぺそ:
あーそっかー。

衛澤:
そろそろ原稿やらなきゃ。

ぺそ:
がんばってー。

衛澤:
おやすみ。

ぺそ:
おやすみ。
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人間同士が喋ることの八割以上は意味のないものだと思っています。意味がある部分にも意味のない部分にもそれぞれおもしろさがあって、その何れをも愉しめる人でありたいと思いつつ、今日もたいした意味もなく生きています。


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