2008年03月16日(日) 脆弱。
昨日と今日とは大阪は高槻市でGID(性同一性障碍)学会が開かれています。例年各都市持ちまわりで開催されていて、今年で一〇回めにして私の居住地から最も近い開催地です。出席しない手はありません。
しかし、季節は春先。私の厄介な持病がひどくなる時期でもあり、例年「今年はやめておこう」と出席を控えていたのでした。でも今年は……何とかなるんじゃないかな、と思いました。ここ数日体調がよろしかったので。
しかし念のため、二日間開催される一日めをお休みして、その夜に開かれる関連イベント「全国トランス交流会」に参加して、様子を見て学会二日めに出席するか否かを決めようと考えていました。
「トランス交流会」の「トランス」とは変圧器でもトランスフォーマーでもなく「トランスジェンダー」のことです。学会のために全国から集まってきたトランスジェンダー、性同一性障碍当事者が学会一日めの夜を利用して交流を深める会です。私はここから参加して一晩泊まって学会二日め……のはずが、交流会の途中で最終電車が出るぎりぎりの時間に突然「帰ります」と知人友人への挨拶もそこそこにリタイヤしてしまいました。
「全国」交流会を、甘く見ていました。全国からGID関係者が集まってくるのですから大人数になることは予想していなければならなかったのです。しかしそれができず、会場の人口密度の高さに持病のパニック障碍の発作を軽く起こしてしまい、滞在は無理と判断して終電がなくなる前に帰らせて頂いた次第です。自分が思っているより自分は脆弱でありました。
突然帰ると言い出して会場を離れてしまったので関係者諸氏には大変ご迷惑をお掛けしてしまいました。この場で改めて御詫び申し上げます。
御迷惑をお掛けしてはしまいましたが、私は交流会に参加してよかったと思っています。交流会で開かれたシンポジウムは大変興味深い内容でした。中でも或る方が仰った「当事者のヒール(悪役)がいて、はじめてノーマライゼーションが可能になる」との発言がとても心に残ったので、ここに記録しておきます。
この発言をした方の存在はもう一〇年以上も前から存じ上げていて、一度直接御話してみたいと思っていて、昨夜それが実現しました。とても理知的な文章をお書きになる人で、もしかしたら私なんぞいい加減なことを一喝されてしまうのではないかと想像したりもしていましたが、快く口を聞いてくださいました。うれしかったです。これだけでも行ってよかったです。
そのほかにも、数えるほどしかお会いしたことがないのに私を見掛けてお声掛けくださった方もいて、よくぞ私のことなんぞ憶えていてくださいましたと感謝の念に堪えません。私が他人さまの顔を覚えるのと大勢の中から特定の人を探し出すのが苦手なものでこちらから御挨拶に伺えず御免なさい。
今日は学会二日めです。朝からとてもいい御天気です。出席したかったなあ、と煌々と射す朝日を見ながら思っています。