いつかなんて何処にも無い あたしはからっぽ でも人形じゃ無いのに
観賞用に愛でるだけなら 埃ひとつ触れぬように ガラスケースの中にしまい込んで 実践的に使いたいなら 洋服も全部剥ぎ取って 在り得ない方向に身体を枉げてよ
楽しい? 嬉しい?
それなら良かった
でも 蹴り飛ばした缶コーヒーには まだ中身が残って居て 靴擦れの痛いあたしの足に 沁み込んでそれが取れないんだ
下手に優しい手作りの コットンで出来たパッチワーク人形 やっと完成したかと想って居たのに どうせならビスクドールになりたかった 修復出来ない程割って壊して欲しかった 少しパーツを換えるだけで 新しいあたしになれてしまう
そんな簡単な話だったら良かったのかなでも 残念ながら今のあたしにはどっちでも同じコト 人間でも人形でも見えているのはひとつだけ 柩に納まるその瞬間まで それまであたしは呼吸を続ける
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