永き 〜 プラットホームの猫より〜 彼は知っている それがいつまでも続かないことを 彼は知っている それでも懐かしく思えることを 「ねぇ、何を待っているの?」 猫はわき目もふらず、ただ一点を見つめる 「電車が来るのを待っているの?」 次第に近づく足音に、 猫は一回だけ静かに目を閉じた それはYESでもNOでもない 彼は待っている 幼き日々の思い出と共に 彼は待っている 徐々に近づく電車の音を感じながら まるで、それが彼を導くものであるかのように─―― プラットホームに電車がやってきた 電車は、一人の老婆だけを降ろし また午後の日差しの中を駆けていく 静かになったプラットホームには その姿は無かった |