「だからさ、もうお前はさ、あの子の前で全裸で土下座して、ヤラしてくらさいお願いしますって大声で哀願するしかないんだって。」
「な、なに言ってるんですかみるくさん、頭オカしいですよ!狂ってるなー!!ほんとこの人狂ってるなー!!」
みるくさんの眼はギラギラひかり明らかに狂気を宿し始めている。前々からキチガイみたいな顔をしていた人だが、ここにきてほとんどホンマモノになってしまっている。
「はっはっはっ!じゃあもう彼女のことは一生諦めるんだな!つーかもう死刑宣告は受けてるんだろ!」
「そ、それはそうですけど・・・。」
「あきらめきれないんだろ?」
「・・・・・・。」
「よーし、いいか?状況を整理しよう。まずお前はあの子が好きだ。そんでもって何回も何回も傍からみて痛々しいほどのアプローチを繰り返してきた。」
「ちょ、痛々しいってどういうことですか?」
「ハタからみていて愛嬌もくそもなくてただ不毛なだけって意味さ。事実それを繰り返してこのたび正式に死刑宣告を受けちまったんだろ?」
「ま、まあ、そうですけど。」
「だけどあきらめきれないと。」
「ま、まあ、そうです。」
「だったらさ、気持ちは通じてるってことさ。一方的にだけどな。だとしたらもう哀願するしかないだろ?全裸になってプライドを捨ててただヤラしてくださいって土下座をしてお願いするしかないだろ?」
「どう考えても犯罪じゃないですか!?」
「だからだよ!そのリスクを君が犯す・・・いやレイプはだめだよレイプは・・・ことで彼女に君の狂ったような真剣な気持ちがつたわるってもんだろ?大丈夫!!よく男優が女優にやらしてくださいって土下座するビデオみるけど大抵成功してるから!成功率100パーだから!!」
「ロクなビデオみてないなーこの人は、ロクなビデオみてないなーこの人は。つーかそれはそういうもんだから当たり前でしょ!」
「じゃあ、君の彼女に対する気持ちは偽モノだったのかい?」
「そ、そんなことあるわけないじゃないですか!?」
「じゃあ、できるよね。」
「・・・・・・・・・。」
いまから考えてみても、みるくさんの言ってることは明らかに狂っていた。だがそのおかしいことをさも当然のことのようにするのも狂人の特質といえるだろう。その場で、みるくさんの狂気をまともにうけた僕は思考回路が完全におかしくなってしまっていた。そして、あろうことかみるくさんの妄言を実行してしまったのだ。
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