すずキみるくのGooden 妄言
旧牛乳式形而上精神論理構造研究所日報

2006年09月05日(火) しゃくなす

旧職場のことを少し思い出したのでちょっぴり関連ネタを。

東建ナスステンレス釈由美子をCMに起用したのには驚かされた。確かに東建コーポはすでに藤田まことや中村玉緒をイメージキャラに使っていたりするから、釈由美子をもってくることもやられてみれば納得はできる。だが、キッチンメーカー内での今までのPR戦術と比べてみるとあまりにも破壊的なのだ。

そもそも、ナスステンレスといえば、キッチンメーカーの中では1,5流のポジションだった。一応、全国シェアのメーカーではあったが、商品の開発力では同業のC社やS社に水をあけられていた。経営もジリ貧になっていて、一度外資に売却されてそれでもうまくいかずに今度は東建コーポが買収した。それらのイメージもあって一流ブランドの立場を確立できず、もっぱらリーズナブルなシステムキッチンのシェアを値下げ競争でM社と奪いあうような状況が続いていた。

以前のナスステンレスはその状況を打開するのに新しいキッチンのフラッグシップモデルを出してきた。画期的な新商品をだすことで市場の評価をかえようとしたのだ。この方法で商品のイメージを替えるには、どうしても他社とのキッチンとの比較の勝負になるし、工務店や問屋などの業界の玄人によい商品だと認めてもらうことが必要になる。

結論から言えば、その戦略は失敗した。なぜかといえば、そんなにいいキッチンを作れなかったからだ。確かに高機能なキッチンではあったが、革新的と言えるようなものではなかった。商品開発力という点ではやはり他社の方に分があった。新商品に社運をかけたが、その新商品がパッとしなかった。そりゃあ当時の社長もじさ・・・ゲフンゲフンというわけだ。

それで今度は新商品も開発しないで釈由美子・・・正直これは業界にとっては黒船来航ぐらいのインパクトだと思う。いや、釈由美子のまんこは黒いとか、まんこが毛深いとかそういう意味ではない。

そもそも今までのキッチン業界だと、商品力がメーカーのイメージ決定でおおきな位置を占めていた。優れたキッチンを開発し、そのよさをショールームでPRして・・・ということを続けながら商品のブランド力をつけていった。傷のつかないシンクだとか、音のでないシンクだとか、扉の前面に包丁スペースをつくったり・・・。そういうかなり地味な積み重ねがブランドイメージを作ってきた。商品のCMもそういう機能面をアピールするものが多かった。

そんなところにいきなり釈由美子である。
「釈由美子は東建ナスステンレス」
といってしまえば、それだけで一流ブランドの仲間入りみたいな感じである。そうだわな。普通の人は「サンクリタカラ」なんて知らないわな。釈由美子がPRしてればなんとなく一級品のイメージができてしまう。CMのつくりもキッチンの性能などは2の次でただ釈由美子=東建ナスステンレスのイメージをつけることに終始している。これはTVCMとしては大正解だろう。視聴者のほとんどはキッチンの良し悪しなどわからないのだから。

さらにいうならば、これはメーカーのエンドユーザーへの直接的なPRであるということも考えなければならない。通常のキッチンメーカーならば、性能等のPRなら、工務店や問屋などのルートでのPRも平行してすすめるだろう。だが、この釈由美子のようなPR方法はエンドユーザーへの直球でルートではPRの仕様がない。評価があるていど固まってしまった業界内は半分放置しているといっても過言でないだろう。施主からの指定を増やしていくことで、ルートでの優位性を少しづつ確保していこうという戦略を感じてしまうのは気のせいか?


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