俺は涙をながさない。多分、涙を流すことをどこかで恐れているのかもしれない。
最後に涙をながして泣いたのは中学校三年生のときだった。そのときは同級生に苛められ、自分の無力さに涙が自然あふれてきてどうしようもなくって、情けなくって、そのときもう2度と泣かないように無意識のうちで心に誓ったのだと思う。
それから、僕は涙を流していない。自分が強くなったわけではないが、涙を流すことはなかった。仕事が完全に行き詰ってボロボロになってしまった時も結局泣くことはなかった。状況の方は泣いていてもおかしくなかったのかもしれない。事実、精神的にはボロボロになっていたし、課長との人間関係は完全なるダメスパイラルに陥って崩壊してしまって、基地外と基地外が二人して地獄に落ちていく状況になってしまっていた。
もしかしたら、泣くべきだったのかもしれない。自分が本当に限界であるところを見せたくなかったり、変な派閥を作ってしまうのも嫌だったりで、妙な意地も張って自分と課長との間で結論を急いでしまった。辛かったら辛いとみんなに訴えて自分のカッコ悪いところも本当に全部さらけ出すべきだったのかもしれない。かってに自己満足で結果を出さずに皆に大声で助けを求めることが皆に対する誠意だったのかもしれない。涙を流さないで、自分ひとりで結論を出すということは、実は強い人間の選択でもなんでもなく、ただ、見栄っ張りの弱者の一番手っ取り安易な解決方法だったのかもしれない。
そんな馬鹿な僕のために先輩は泣いてくれた。僕の退社が決まった時から、何回も泣いてくれた。トイレとかに入って誤魔化してたけど、なんとなくでもわかるもので。そのたびにこっちとしては、申し訳ないやら、情けないやら、ありがたいやらで、相変わらずの平然とした受け応えするしかなかったわけでして。自分のことで、涙もながせない僕のために、泣いてくれる先輩は、実は本当に強くて、立派なヒトなんだなとおもってしまったわけで。多分それだけでもこのヒトには一生頭が上がんないとおもっている。
まあ、そんなわけで、アレです、見栄っ張りでクールを装っているアホな後輩ですが、先輩に流してもらった涙の恩はなんとか認識してますんで。ええ。いずれ出世払いでもなんでもこのご恩は一生かけてでも返しますから。それでいつか僕も先輩みたいにヒトのために泣けるひとになれたらいいなあとかおもってます。ええ、まあ。そんなわけで、程々にがんばりたいなと。
えー、恥ずかしいんで、こんなことを書くのはこれで最後ということで。はい。
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