2014年02月07日(金) |
様々な人の思いや物語を引き継いだ命 |
某雑誌の、「種」を未来につなぐ、という特集。 日本固有の野菜の種を受け継ぎ、未来へ継承しようという活動である。
なんか数寄者の集まりか?と思われるかもしれないが、さにあらず。
これを理解するには、「種」は芽を出して当たり前、 親と同様の個体をつくって当たり前、という固定観念を見直す必要がある。
家庭菜園で育てた野菜が花開き、種をつけたとして、 その種を翌年撒いても、実はならないか、 期待した収穫にならないのである。
これは、国内で流通しているほとんどの野菜の種が、F1種であるためだ。 同じ品質、同じ収量を期待したければ、種屋から種を買い続けるしかない。
命は、−金を払わなければ−、継承されないのである。
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命は、金を払わなければ、継承されない。
人間に対しても、そうなるように既にデザインされている。
まったく何の抵抗もなく、子どもを「作る」ために金を払う。 そのうちには、「親もそうしてきたし」と、 納得に拍車をかける時代もくるだろう。
あと100年経てば、立派な「F1人間」の社会である。
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未来に悲嘆するが、希望がないわけではない。
件の冊子では、「固定種」「在来種」とよばれる、 室町時代から続く野菜の種を守り続ける団体が紹介されている。
記事の中で「warmer warmer」なる団体を主宰する高橋一也さんは、
「何世代も経て風土に合った古来種は、農薬を使わずに育ち、さまざまな人の思いや物語を引き継いでいる。これを、みんなの力で未来につなげたい」 、と述べている。
様々な人の思いや物語を引き継いだ命。 このことの尊さを、忘れてはいけないと思う。
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