浅間日記

2013年09月07日(土) 世界のおばあさん

Yが寝しなに読んでくれと持ってきた、「世界の昔話」。

では今宵は、イギリスの昔話といきましょうか、とページを繰る。

おばあさんが豚を一匹、市場で買いました。
おばあさんは豚を家に連れて帰りますが、家の門をくぐろうとしません。

そこでおばあさんは、犬に頼みました。
豚をかんでおくれ、と。
しかし犬は知らん顔。

そこでおばあさんは、棒に頼みました。
犬をぶっておくれ、と。
しかし棒は知らん顔。

そこでおばあさんは、火に頼みました。
棒を燃してくれ、と。
しかし棒は知らん顔。



以下同文で、昔話特有の繰り返しが続く。
話のターニングポイントは、おばあさんの態度豹変にある。

おばあさんは牛に干草をやりました。
すると牛は乳を出しました。

おばあさんは乳をねずみにやりました。
するとねずみは、−おばあさんの頼みどおり−縄を食いちぎりました。

すると縄は、男をしばりつけようとしました。

以下同文で続き、おばあさんに頼まれた者たちは次々に行動を起こし、
かくしておばあさんの豚は、家の門をくぐるのである。




おばあさんは自分で手を下さない。
ただ交渉をするだけである。

縄を食いちぎるねずみは、門をくぐらない豚のことなど知っちゃいない。
それは、自分の働きの意味の、理解を超えている。

おばあさんは粘り強い交渉の果てに、
ー時にはインセンティブを与えー
思ったとおりの結果を手に入れている。



英国おそろしや。
支配することの何たるやについて、
これほど分かりやすい話があるだろうか。

私のあてずっぽうで言うと、英国は「世界のおばあさん」である。
過去も現在も、おそらく未来も、

表向きはビロードみたいな古臭い伝統にまみれているが、
その実態は、最先端どころか、100年先に向けて、犬や棒に交渉をはじめている。
アメリカもイスラエルも、中国も、ロシアも、それに追いつけない。



英国の昔話にからめて、今の国際情勢を思う。

マスコミは「縄」かもしれず、オリンピックは「犬」かもしれない。
シリア情勢も、豚に近いが、結局のところ豚ではないのだと思う。

世界の本当の目的と方向は、
ーおばあさんが門をくぐらせたい豚はー、
一体何なのだろうか。

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