浅間日記

2011年04月14日(木) 東日本大震災 健康被害

被災地の瓦礫の撤去作業を、地元住民を雇用して実施する、というニュース。
以下詳細。記事にはないが、日当七千円だそうである。



釜石市は11日、東日本大震災の復旧に伴う緊急雇用2 件対策として、被災者を対象に市内で約千人の雇用を創出する方針を明らかにした。事業所の被災により解雇された住民も出てきており、がれき撤去2 件や仮設住宅設置の業務に従事しながら、市が復旧期と位置付ける今後2年間の雇用を確保。14日からの民有地のがれき撤去を手始めに、関連の企業・団体に協力を働き掛ける。

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民間団体が、被災地の大気中に飛散するアスベストについて調査をしたというニュース。4月10日にNHKニュースで報道された。
以下詳細。



被災地でがれきの撤去が進むなか、建材に含まれるアスベストが健康に影響を及ぼすおそれがあるとして、宮城県南三陸町で、空気中にどの程度飛散しているかなどについての調査が行われました。
この調査は、新潟県中越地震などでもアスベスト調査を行ってきた民間団体の担当者や医師など合わせて6人が行ったものです。調査は、南三陸町中心部の志津川で行われ、住宅が壊れてがれきの山になっている現場では、アスベストを含む壁などの建材が次々と見つかりました。アスベストは耐火性が求められる建物に使われることが多かったということで、海岸近くのガソリンスタンドでは、鉄骨の柱に吹きつけられたアスベストがむき出しの状態で残されていて、担当者が分析のために採取していました。このほか、専用の機械を使って空気中に含まれる粉じんの量の測定も行われ、分析結果は今後、町内の避難所に届けたいとしています。調査をした中皮腫・じん肺・アスベストセンターの永倉冬史さんは「津波で想像以上に建材が粉々になっていました。がれきは、撤去作業や処分場への運搬の際、さらに、一定期間野積みにされていても、細かく粉砕されて粉じんが広範囲に及ぶおそれがあるので、防じんマスクを着用して身を守ってほしい」と話していました。


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環境省が、同じく被災地のアスベスト調査に乗り出したと言うニュース。4月13日から開始したと、14日のNHKニュースで報道された。以下詳細。



環境省は東日本大震災の被災地で出たがれきなどからアスベストが飛散して健康に影響を及ぼすおそれがないか、13日から福島県で調査を始めました。
古い建物には健康に影響を及ぼすアスベストが使われていることがあり、平成7年の阪神・淡路大震災では、倒壊した建物からアスベストが大気中に飛散したケースが確認されています。このため、環境省は今回の大震災について調査することにしたもので、13日は福島県郡山市の災害廃棄物の置き場で、民間の業者が山積みになった廃棄物の風下で空気のサンプルを採取しました。環境省は今後、福島県と宮城県の廃棄物置き場や避難所など15か所程度で、空気に含まれるアスベストの濃度を測定し、早ければ今月下旬ごろに結果を公表したいとしています。調査に立ち会った環境省の山口久雄係長は「本格的なアスベスト調査の第一歩として郡山で調査をした。しっかりとアスベストの対策をして、一日でも早い被災地の復興に協力したい」と話していました。




件のニュースでは、民間団体がアスベストの飛散状況の調査を始めため、環境省は慌てて後に続いたようにも思われる。


国や大企業は確かに大きな金を使って大きな行動を起こすことができるが、
志と技術のある個人やそうした人々の方が、コンパクトではあっても、はるかに迅速で的確な行動を起こせるようになっている。





アスベスト(石綿)は、髪の毛の五千分の一という細かい繊維で、
吸い込んで肺に突き刺さると、悪性中皮種を引き起こす。
アスベストを含んだ建築物を解体する時は、厳重に飛散対策をし、
作業員は防護服、防塵マスクを着用しながら作業にあたることが法律で決められている。

そんなものがむき出しになっている瓦礫の撤去作業を、
被災地住民を雇用して作業させるなどというのは、あまりにも危険だ。

なんか美談のように報道されていたが、即刻やめた方がいい。




被災地の健康被害の危険は、放射能汚染だけではない。
それから、件のアスベストだけでもない。


沿岸部には、漁船の燃料である重油タンクが沢山あり、津波で殆ど流された。また化学工場では厳重保管されているPCBや毒劇物が、おびただしい量で外部へ放出されているはずである。瓦礫の中に混じったボイラーや焼却炉からは、ダイオキシンも検出されるだろう。

さらに東北地方というのは、有害物質を含む産業廃棄物を埋め立て処分する最終処分場が集中しているところなのである。
こうした施設が、今回のような大規模な地震に耐えられているだろうか。




こうして差し迫った問題について具体的に色々な心配をしていると、
地球温暖化というリスクは、実にメルヘンチックなものにみえてくる。

百年待たなくたって、IPCCが勧告しなくたって、
私達はもうこのように、存亡の危機に立ってしまっている。

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2005年04月14日(木) コミュニケーション原点回帰
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