浅間日記

2011年02月23日(水)

甲府にて、昼前に仕事が完了し、解放される。

近くに住んでいるというGさんが、爽やかな笑顔で待ち構えていた。
ひと仕事終え、泥のように着かれきった我々二人を車に積み込み、さっそうとランチへ。

長年憧れていた、素晴らしい伝統的なワイン醸造場の見学をし、
美術館へ絵画鑑賞へ。

山梨県立美術館は、ミレーとその一派の作品群の収集で知られている。
静かな館内に、足をはこぶ。



名画であるとかそうでないという以前に、
300年も前の西洋の油絵が目の前にある不思議。

誰かが、筆を持ってここに確かに色を置いた。
その行為の質量はいささかも減じていない。

近代化以前の人間がする魂の込め方や生命力は、
現代人のそれとは相当にレベルが違うものだと思う。

だから、私は、そのレベルの違いに圧倒される。
若くして世を去る前妻の肖像画には、
描いたミレーと描かれた妻の双方の魂がいまだ宿っている。



「種を撒く人」では、ちょっとした推理。

この作品は、初版とでもいうべき作品と、
それをそっくり真似て本人が複製したものがあるのらしい。

一つはこの美術館に、もう一つはボストン美術館にある。
展示場所には、ボストンの一枚も、複製が展示されている。

どちらが最初の一枚であるかは解明されていないそうである。

まったく私の勘であるが、ボストン美術館の方ではないかと思う。

理由は、二つ。

一つは、ボストンの農民の方が、サロンで「反社会的である」と物議をかもしたという「新しい農民の姿」の勢いが感じられるから。
もう一つは、相当穿った見方だが、本物はアジアの美術館には置かせないだろうと思うから。

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