浅間日記

2009年03月01日(日) 欠損という存在

共同通信の小山鉄郎氏が執筆している、「白川静漢字入門」なる連載記事。
白川静とは何ぞやというところからであったが、
面白いので毎回記事を切り抜いて冷蔵庫に貼ることにしている。



本日は「臣」という字である。おみ、と読む。

臣という字は、わざと潰した目を現しているのだそうである。
古代、君主に仕える者は視力をなくす事でその能力を得たのだそうである。

「賢」という字の中に臣がプラグインされているのは、
賢とは、何かを損なうことで獲得される特質であることを示している。



古代の人は、自分の目を潰す時、一体どんな気持ちだったのだろう。
能力獲得への希望か、あるいは視力への未練と不安か。
よくわからない。およそ理解できない。



ただし、このことは少しは解る。
全てを備えた者よりも、欠損をもつ者の方が発揮できる能力がある。

無ければ無いなりに何とかしようという働きは、
それを持たないものにしか生まれないからだ。

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