養老孟司さんが「『親になる』を考える会」の設立を発表したというニュース。 「『少子化とは“少親化”のこと』という視点から、親になることの重要性を広く訴える考え」、と書いてある。
養老さんがどのような取り組みをするのか、期待している。 ベビーブームのような、子どもを増やすだけの薄っぺらいムーブメントにはしないでほしいと思う。
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『親になる』を考えるためには、 『親にならない』を隣において考えなければいけない。
親になることは素晴らしいことだと思っている。 でもそのことは、 リプロダクティブ・ライツ/ヘルス−女性の性と生殖に関する自己決定権− をおざなりにしてよいということではない。
むしろ、不可分であるとさえ思っている。
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親になることは、既定事項ではない。国民の義務でも何でもない。 親になることは、万人にとって正解でもない。 そして、必ず子を授かるというものでもない。
それは、自分で選んで決めることだ。 産めばよいというものではない。
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ひとたび人の親になることを自分で決意するのなら、 それがどんなかたちであれ−子を授かっても授からなくても−、人生の意味は深みを増す。
喜びはよりいっそう喜びとなり、悲しみはより深い絶望になる。 怒りは、それを許すために今までよりもずっと忍耐を必要とする。
そんな、因果の荒波をどうにかこうにか乗り越えてゆく時には、 「自分は親になることを選択し、決意した」という忘れがたい記憶が、 唯一の支えになるのだ。
2006年06月12日(月) 産地直送・源泉掛け流し 2005年06月12日(日)
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