世間はお盆休み。そして、終戦記念日。
「菊と刀」のルース・ベネディクトが分析したかどうか知らないが、 いわゆる「終戦の日」が、お盆の時期に重なっていることは、 日本国民にとって幸いである。
お盆は、国民的な夏の休暇として周知されている。 夏の終わりを感じながら、ゆっくりと考える時間が与えられる。
茄子の牛や胡瓜の馬、そして迎え火に迎えられて、 先祖とともに食事をし、数日を過ごす。 なんとも静かで優しい信仰のかたちである。
そして、このごく素直な気持ちから生じる祖先信仰とともに、 戦争と生と死が、しぜんと一つに重なり合う。
失われた魂は、国ではなく家に、 制度ではなく血筋の中にこそ在るのがふさわしいと、 誰もが素直にそう思う。
そして、子孫の代まで、もう誰も悲しい思いをしてはいけないと、 誰もが自分の文脈の中で強く思う。とてもリアルに。
もし終戦が、このお盆以外の時期だったら−年末とか年度当初とか−、 60年も戦争をしないでいられただろうか。
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