浅間日記

2006年08月15日(火) 菊と刀と御先祖様

世間はお盆休み。そして、終戦記念日。

「菊と刀」のルース・ベネディクトが分析したかどうか知らないが、
いわゆる「終戦の日」が、お盆の時期に重なっていることは、
日本国民にとって幸いである。

お盆は、国民的な夏の休暇として周知されている。
夏の終わりを感じながら、ゆっくりと考える時間が与えられる。

茄子の牛や胡瓜の馬、そして迎え火に迎えられて、
先祖とともに食事をし、数日を過ごす。
なんとも静かで優しい信仰のかたちである。

そして、このごく素直な気持ちから生じる祖先信仰とともに、
戦争と生と死が、しぜんと一つに重なり合う。

失われた魂は、国ではなく家に、
制度ではなく血筋の中にこそ在るのがふさわしいと、
誰もが素直にそう思う。

そして、子孫の代まで、もう誰も悲しい思いをしてはいけないと、
誰もが自分の文脈の中で強く思う。とてもリアルに。


もし終戦が、このお盆以外の時期だったら−年末とか年度当初とか−、
60年も戦争をしないでいられただろうか。



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