ラジオで、作家の目取真俊(めとるましゅん)氏が語っている。 朝食の後を片付け、テーブルを拭きながら、耳をかたむける。
珊瑚の浜辺を歩きながら、外部からの様々なインパクトによって、 自然も、暮らしもすっかり損なわれてしまったのが今の沖縄だ、と語る。
「…半日で一周できてしまう、小さな空間にも宇宙があり、 自分はそのことを確認したくて、物語を書いています。」
沖縄では−本島のことだと思うが−、 魂が落ちるということがあるのらしい。
子どもが元気を失くし塞ぎこむのはそのせいで、 そんな時大人は、「魂込(まぶいこめ)」をしてやるのである。 今でも一部の人たちには続いている風習なのらしい。
氏はその風習にまつわる物語を書き、 「魂込め」という作品に仕上げている。
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目取氏のつむぎだすファンタジー世界が、奇を衒うばかりの作品と違うのは、 ある土地の歴史と生活と文化の上に、ちゃんと乗っかって創られているからなのだと思う。
そういうものでなければ、奥行きのある、腹持ちのよい物語にはならないのだろう。
2005年04月17日(日) 嫌だといっているというのに 2004年04月17日(土) 不必要な不祝儀
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