朝、寒いさむいとAが泣くので外をみたら、雪だった。初雪である。
スカスカの家だから、 部屋全体を暖めようなどという贅沢は、もうはなからあきらめている。 だから、部屋は寒くても身体は暖かく、という方向で対策するのだ。
まず頭部からの放熱を帽子でバリア。 次に、首と名の付くところは全て一枚多く被覆する。 なくてはならないのが、厚手の靴下。 血管やリンパ節の集まっているところを局所的に暖めるのが、 効果的に体温をキープするポイントだ。
最後の仕上げに、白金カイロをジーパンの後ろに挿む。 使い捨てのカイロよりも熱が力強く、「火の塊を身につける」というのも何だか粋だ。 かすかに香る炭の匂いも好きだ。 これで、熱い朝風呂に入っているように身体全体が温まる。
そうしているうちにポットに熱々のお湯が沸くので、 ショウガの蜂蜜漬けをこれで割り、今度は身体の中からも暖める。
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胃がカーッと温まるのを感じながら、 空調暖房というはいつ頃から普及したのかなあと思う。
確かにそれは、部屋の寒さとは無縁で素晴らしいけれど、 空気が乾燥し喉がガラガラとか、ウィルスが蔓延しやすいとか、 いいことばかりでもないと思う。 それにどんなに部屋の温度が上がっても、 ポカポカする、という感覚ではないように思う。
朝の台所で白い息を吐きながら考えた負け惜しみであるが。
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