私には幼稚園頃からの幼なじみがいる。
家が近所で年も同じで 幼稚園のクラス以外は同じクラスになったことがないけれど いつも近くていつも当たり前のように「友達」だった。
高校は別々になり それからは共有する場所も時間も食い違い 自然に疎遠になったけれど
私が何度目かの転職をして天神のとある会社で働きはじめた頃 近くのコンビニで 偶然彼女と再会した。
もちろん空白の時間はあっという間に埋まり 互いの勤める会社が目と鼻の先だった偶然もあって また 互いに酒が強くて また 勤め先のすぐ近くが歓楽街ということもありw
私たちは幼なじみから飲み仲間へと進化した。
真面目で人当たりがよくて明るくて優しくて酒が強くて歌が上手くて良く笑う彼女 彼女の馴染みの店によく行くようになり 私まですっかり常連になって
アフター5から飲み始めて朝まで飲んで どっちも同じくらい飲んで、どっちも同じくらい酔って やたらと爆笑しながら帰宅したりして
私が結婚するときは姉のように心配してくれて 「そんな急に決めて大丈夫?」と 真剣に、よく考えてから決めるように 親を心配させたらいかんよって 何度も繰り返してた 親思いの優しい彼女
私が2度目の流産をしてめちゃくちゃ落ち込んでたとき 紫陽花の綺麗な絵はがきを送ってくれた彼女
いつもいつもくっついてなくても 会えば時間が一気に戻る友達がいるって幸せだなあと 私の人生で一番長い友達の存在がいつも心強くて嬉しかった
この間
用事があって
連絡したら
メールの最後の1行に 「話したいことがあるから、夜、電話するね」とあって 異様な胸騒ぎを覚えた私は
「そっちまで行くけん、会って話そう!!!」と その日の夕方 車で市内まで走らせて
なんでだろう 走らせてる途中で 涙が出てきて
なんで私泣くんだろう どうしたっていうんだろう 話したいことの内容なんてまだ分からないのに なんで涙が出るんだろうと
この胸騒ぎをかき消すように ラジオのボリュームをあげて エアコンの風を顔面に向けて 目を乾燥させるのに必死になって
待ち合わせの場所について コーヒーもまたずに 聞いた
「話って、なに???」
一瞬の間があって 彼女が言った。
「・・・私ね、乳癌って」
胸がズキズキズキズキとうずき始める。
「健康診断のオプションのマンモグラフィでわかったと」
それからこれまでの経緯を聞きながら なんで悪い予感ってあたるんだろう 私はこの惨い彼女の苦しみに何をどうすることができるんだろう 涙は出てきたけど 泣くんじゃない私と私の中の私が諫める
きっと 今日までに彼女は泣いて泣いて苦しんできたに違いないんだから 私はただ願い祈ることしかできないはず
神様 これは彼女に生きろということですよね?
この素敵な彼女が 命を蝕む病に気付くように 神様が健康診断を受けるきっかけを与えてくれて はやく悪いところをとってもらえるようにしてくれているんですよね? そう そうに決まってる。
帰りの車の中で また泣けてきた
明日の朝、すぐ神社にいってお参りしてくる。 味方は一人でも多いほうがいいから
きっと きっと
・・・ねえ、80歳になっても私たちは幼なじみよ。わかっと?
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