天上天下唯我独尊

2013年12月07日(土) 蚤の心臓

体調はほぼ回復。
寒い時期なので肩凝りは残るが、それでも頭痛が消えて食欲が戻ったので、随分元気になった。

「噛んだところが口内炎みたいになって痛いよう」
と、主人がしょんぼりして、唇の裏を見せて来た。
その直前に、主人が食べ零したお菓子のくずを床に発見したばかりで、何度言ったらわかるんだコイツは……!と多少イラついていた私がつい、
「あらあら可哀相に。早く治るように、塩でも擦り込んであげましょうか?」
と言うと、主人は目を剥いた。
「酷い!

鬼ババア……!



鬼ババア?
今、鬼ババアって言ったね。
「貴方、私の事を『鬼』と言った事は今まで何度もあったけれど、『ババア』まで付けたのは今が初めてよね?」
と主人の目をじーっと見ながら静かに言うと、主人がか弱い声で答えた。
「今ね、凄く、心臓がバクバク言ってる……苦しい」
「そうか。じゃあこれを繰り返せばもしかして」
「うん。こないだシオンが観ていた『シャーロック・ホームズ』の悪者みたいになるかも。『奴の心臓は、恐怖で既に止まっていたのです』って」
BSで放送中の「シャーロック・ホームズの冒険」デジタルリマスター版で先日、そういう話があったのだ。
でもそれは、良心の呵責が原因な訳で、
「つまり、貴方も、私をババア呼ばわりした事で、良心の呵責を覚えたという事?」
と畳み掛けると、
「蛇に食われる蛙に、良心の呵責なんて無いよ。あるのは恐怖だけだ」
と言い切りやがった。
よし、保険金増額しとくか。


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