数字選択式宝籤の当籤番号を事前に教えちゃいます!という詐欺に引っかかった老女の話を、NHK21時のニュース番組内でやっていた。 騙す方が悪いのであって、騙される人は被害者なんだから可哀相!という人もいるし、確かに一般的にはそうなのだろう。 しかし今回の場合を見て、一概にそうとは言い切れないと思ったのであった。 普通に考えて、あり得ない話である。なのに引っかかる。 何故引っかかるのか。それは、自分もこっそり儲けようという魂胆があるからなのだ。 年寄り相手の大規模詐欺といえば、豊田商事事件がある。 破産した豊田商事の管財人として被害者達に接した中坊弁護士は、 「金欲しさに引っかかったのだと嘲笑う人達がいるが、そうではない。独居老人達は寂しかった。豊田商事のセールスマン達は、とてもよく話を聞いてくれた、だから商品を買ったのだ」 と自伝の中で被害者達を庇っている。 健康器具だの高級布団だのを買ってしまう老人の中には、そういう人も多いだろう。 しかし、詐欺に遭う被害老人全部が全部、寂しさからひっかかる訳ではないし、このロト詐欺の場合、完全に欲の皮が突っ張っていたせいだと言っていい。 先日も民放のニュース番組で、同様の詐欺に引っかかった、多分別の老女の話をやっていたが、彼女は何と、知人や親戚から借金してまで詐欺業者に注ぎ込んでいたと言う。 その額300万円。億単位の金が当たれば、すぐ返せると思ったのだろう。 彼女は泣きながら、 「本当の事なんて、打ち明けられません。こんな恥ずかしい事……」 と言っていたが、恥じている事に驚いてしまった。 これが自分の親だったら、私も恥ずかし過ぎて、死んでくれって思うわ。 NHKで見た被害者は、ご丁寧に電話での会話の様子を逐一メモしており、最後に詐欺師から切られて電話が繋がらない時の電子音の様子まで、克明に 「プープープープープープープープー」 と書いてあったのには、大いに笑わせて貰った。 抜けている割に、変なところできっちりしてる。 何故自分だけ特別扱いで、事前に当籤番号を教えて貰えると思っているのか。 何故相手は番号をわかっているのに自分で買わず、赤の他人であるところの自分に教えてくれると思っているのか。 何故これが百歩譲って本当だとして、不正だからやってはいけないと思わないのか。 色々と、突っ込みどころが多過ぎる話である。 年寄りは大事にしろとか敬えとか言うけれど、無駄に年齢を重ねただけの馬鹿を尊敬しろとか無理だわー。
一緒に見ていた主人も、流石に今回ばかりは、腹を抱えて笑う私の事を人でなし扱いはしなかった。 「貴方、この被害者に同情出来る?」 と訊いたら、 「ちっとも」 と即答であった。そして、 「シオンも宝籤大好きだから、こんなのに引っかからないように気を付けてね」 と言われてしまった。
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