2013年07月19日(金) |
宮部みゆき著「名もなき毒」読了 |
今月から、どこかの民放が小泉孝太郎主演で宮部みゆき原作のドラマを放送すると、番組宣伝で見かけていた。 題名に覚えは無かったが、何の気無しに番組のサイトで粗筋をチェックしてみたら、内容は小説「誰か」であった。 あーあの図々しい姉妹の話ねー、妹と婚約者がクソだったけれど姉も大概だったっけ、そう言えば続編を冬に買ってたなあと思い出し、本棚を探してみたところ、文庫本「名もなき毒」が出て来た。 序章部分だけ読んで、放置していたのだった。
ジョーバに揺られながら読んで、先がわかるに連れて、非常に苛々した。 サイコパスとそれに振り回される人々の話なのだが、主人公も妻も上司も、よくもまあ揃いも揃って間抜けばっかりだな!というのが私の感想。 そりゃね、危機管理意識があって先回りの出来る主人公なら、小説にはならない。それはわかる。 にしても、この間抜けっぷりはどうなの。馬鹿なの。 まあ馬鹿なんだろうなー。というか、平和ボケした普通の人はそうなんだろうな。 いや別に私が数々の修羅場を生き抜いた戦争体験者と言う訳では決してないのだが、それにしたって危機意識無さ過ぎなんじゃないのこの人達。 という私は、主人に言わせると、犯罪ドラマの観過ぎなんだそうだ……まあ否定はしないが。
「男はタフでなければ生きて行けない。優しくなれなければ生きている資格がない」という有名な言葉があるが、(外国のハードボイルドものの翻訳を基にした、「野性の証明」のキャッチ・コピーだそうである)優しいだけでも駄目なのだ。 尼崎事件の時にも思ったが、家族を守れない男なんて生きている資格が無い。 その点で「名もなき毒」の主人公も馬鹿だが、私がそれ以上に腹が立ったのは、その上司である。 職場に1人でもトラブルメーカーがいると、御せない上司の責任問題だけではなく、皆が迷惑するのだ。 自分のメンツに拘って、部下達の迷惑を考えずに正しく対処をしなかったこの女は、上司失格である。皮肉にもトラブルメーカーの言葉通り。 人は吃驚するような事態に遭遇すると、面倒だと思って放置しがちだが、病気と同じで、きちんと対処しないと後で更に面倒に事になるものだ。 特に日本人は揉め事が嫌いでなあなあにしがちだが、それじゃあ駄目なのだ。 もう1人の子供を盾に、サイコパスから逃げた親はもっと悪い。それってごみのポイ捨てと同じ、いやそれ以上に酷い。親なら始末しろよと。 製品同様、人間にも製造者責任法を適用すべきだと強く思った話であった。 作り話なのに、読んでいて苛々した。疲れたよ。
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