うちの主人は立ち仕事が多い。 脚が痛いだのだるいだのと言って、布団の中で横になっても、蝿のように足を摺り合わせる。 最近は仕事が立て込んでいるようで、かなり苦しそうだ。 冬の間は寒かったので、布団から出て足を摩ってやる気になれなかったが、今はすっかり暖かいので布団から起き上がり、よしよし可哀相にと足のマッサージを始めた。 しかし私も眠くなったので、気持ち良さそうに目を瞑っている主人に訊いてみた。 「ねえ、私ももう眠ってもいい?」 主人は首を横に振った。 「寝ちゃ駄目なの? もう暫く続ける?」 と訊いたら、今度はうんと頷いた。 仕方無いなあ、と暫く摩り続けたが、私も限界が来た。 「もう終わっていい?」 主人が頷いたので、私も漸く横になった。
翌朝、主人にその話をしたところ、全く記憶に無いと言う。 止めちゃ駄目と首を横に振った事はおろか、私が足のマッサージをした事すら覚えていないそうである。 でも、主人が気持ち良さそうにしていたからいいや(笑)。
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