夕方の「報道特集」を見たら、カネミ油症事件のその後をやっていた。
カネミ油症事件(カネミゆしょうじけん)とは、1968年に、PCBなどが混入した食用油を摂取した人々に障害等が発生した、主として福岡県を中心とした西日本一帯の健康被害事件。(by ウィキペディア)
西日本に生まれなくて良かったと思った。 仮令西日本に住んでいたとしても、うちの親はカネミ油は使わなかった気もするが。 というのも、祖母が新し物好きの正反対で、チクロにしても 「砂糖があるんだからそんな物要らない」 と決して使わず、抱き癖が付くから赤ん坊が泣いても抱っこしちゃいけないという当時の最先端育児方法にしても、 「抱き癖なんてどんどん付けたらいい。昔から人間はずっとこの方法でやって来たんだ」 と全く耳を貸さない人で、そんな祖母に育てられた母も同じように「昔からずっと続いているものが1番」という考えだからである。 とは言え、母は同時に無類の勿体無いお化けでもあるので、もし贈答品としてカネミ油を貰っていたら使ってしまう虞はある訳だから、やはりカネミ油圏住まいじゃなくて良かったと思うのだ。
油症事件の原因物質はPCBだと聞いていたのだが、どうやらそこから生じたダイオキシンが本当の原因らしい。ウクライナのユーシェンコ元大統領のじわじわ慢性版か。 色素沈着、内臓疾患、頭痛に倦怠感。これが恐ろしい事に、子や孫にまで遺伝する。自分一代では終わらないのだ。 母親が作った物を食べて油症になった被害者の話を聞いて、気の毒だと思った。 しかし孫子の代までの被害を補償するとしたら、これは大変な事になる。 加害者たるカネミ倉庫(驚いた事に、まだ存在していた)に支払い能力は無いから、税金で何とかしろと言うのは如何なものかと。 確かに二代目三代目にまで被害は拡大しているが、子を持たない事で犠牲者を増やさない選択もあったのではないかと。 酷な話だが、正直そこまで国に出させるのはどうかと思った。
茶のしずく事件にしてもそうだが、無闇に新しいものに飛び付くのは危険だと感じる話であった。 やはり古くから続いていて、安全性が確立しているものが一番なのだなあと。 不謹慎ながら番組を見ていて笑ってしまう場面があった。 私がカネミ油なんか使ったから……と自分を責めるおばあさん(当時の主婦)。そう言って泣きながら、何故か揚げ物をしていた。あれか、TV局の仕込みなのか。 それでも揚げ物はやめないのかよ! もう懲りろよ!とTVに向かってつっこみを入れる主人。 揚げ物が苦手な私は、それでも揚げ続ける彼女は寧ろ凄いと思った。 だってはねるじゃん、油が。熱くて怖いんだよ。
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